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レフア・アーヒヒ

レフア・アーヒヒは、オアフ島のみで見られる珍しい植物です。有名なオーヒア・レフア(M. polymorpha)の近縁種で、両種が同じ場所で互いに隣り合って生えている場合もあります。ワイアナエ山脈とコオラウ山脈の標高125~700mの勾配が急なスロープに自生します。花は赤色でオーヒア・レフアに似ていますが、レフア・アーヒヒは、葉柄と中央脈が通常赤いのが特長です。 昔はヌウアヌあたりで多く見られたらしく、ヌウアヌが舞台の歌やチャントにレフア・アーヒヒがたびたび登場します。ハワイアンのスタンダードナンバーで、特にカハウアヌ・レイク・トリオの演奏で有名な『プア・アヒヒ』という曲は、愛する恋人をラニフリ(Lanihuli:ヌウアヌ・パリの西側にそびえる頂)に咲くレフア・アーヒヒの花に例えて歌った、美しいラブソングです。   3番目の写真は、パウオア・フラッツ・トレイルの終点の高台からみた、ヌウアヌ・バレーとその奥にそびえるラニフリです。手前にレフア・アーヒヒの花が咲いています。ちなみにラニフリの向かって右手は、有名なヌウアヌ・パリです。また、有名な『アロハ・オエ』の冒頭にもレフア・アーヒヒが登場します。 日本語名:― ハワイ語名:lehua ‘āhihi 英語名:― 学名:Metrosideros tremuloides 分類:フトモモ科(Myrtaceae)ムニンフトモモ属(Metrosideros) その他:オアフ島固有種(endemic)...

ベニーというハワイアンモンクシールの話

先日の新聞に、釣り針が刺さった状態で発見されたハワイアンモンクシールが、獣医による手術後に回復して海に返されたことが記事になっていました。以前にも書かせていただきましたが、モンクシールは絶滅危惧種で保護されているため、こういうことがあると大きく報道されます(この記事も一面に載っていました)。今回は、このモンクシールのニュースについてお話しさせて頂きたいと思います。 ベニーというオスの12歳のモンクシールは、昨年の年末に口から釣り糸が出てきている状態で発見され、アメリカ海洋大気庁(National Oceanic Atmospheric Administration、略してNOAA:ノアと呼ばれます)の職員に保護されました。NOAAには海洋生物の保護を主な業務とする部署があり、モンクシールやウミガメの保護はこの部署が担当しています。レントゲンの結果、ベニーの胃には10 cmほどの釣り針が刺さり、針に付いていたワイヤーリーダーが食道を通って口から出てきていることがわかり、手術で取り除かれることになりました。手術は無事成功し、2週間ほどのリハビリ期間を経て、元気になったベニーがこの日、NOAAの職員らに見送られて海に返されたのです。 現在、ハワイアンモンクシールは1,100頭弱しかおらず、ハワイ主要8島にはそのうちの150頭が生息していると言われています。昨年はベニーのようなモンクシールの釣り針の事故が12件ほど報告されています。NOAAは、もし釣りをしていてモンクシールに針がかかってしまったら、すぐに報告して欲しいと呼びかけています。hahaNOAAharinituiteitawaiya-ri-da-ga hawaiannmonnkushi-ru...

アー(アカアシカツオドリ)

アカアシカツオドリは、ハワイでもっとも一般的に見られる海鳥の一つです。ハワイには、本種のほかにカツオドリ(Sula leucogaster plotus)とアオツラカツオドリ(Sula dactylatra personata)の3種のカツオドリの仲間がいますが、その中では本種がもっとも小型です(全長71cm、翼開長102cm)。 古代ハワイ人は、これら3種のカツオドリをとりわけ区別することはなかったようで、ハワイ語ではすべて「アー(ʻĀ)」と呼ばれます。英語名のboobyは、「まぬけ」という意味があります。イギリスの船乗り達が、航海中の船にやってくるカツオドリをいとも簡単に捕まえて食べることができたため、このように不名誉な名前が付けられたのだそうです。 世界中の熱帯の海洋に広く分布し、ハワイでは主要6島すべてで見られます。カウアイ島のキーラウエア・ポイント(Kīlauea Point)や、オアフ島のウルパウ・ヘッド(Ulupaʻu Head)などに集団繁殖地があります。3羽~10羽でV字型に並んで飛翔することが多く、最高で30mもの上空から海に飛び込んでイカや魚を捕まえます。 日本語名:アカアシカツオドリ(赤足鰹鳥) ハワイ語名:‘Ā 英語名:Red-footed Booby 学名:Sula sula 分類:カツオドリ科(Sulidae) その他:ハワイ在来種(indigenous)...

テングハギの話

ハワイの海に潜ると、鼻先に角(ツノ)のようなものが生えた魚がいます。ワイキキ水族館でもよく見かけるこの魚は、その角から英語ではユニコーンフィッシュ(Bluespine Unicornfish)と呼ばれているのですが、日本語ではテングハギと呼ばれているそうです。日本では角が天狗の鼻に例えられているのですね。今日はこのテングハギのお話をさせていただきたいと思います。 テングハギは、スズキ目ニザダイ科テングハギ属に属する魚で、太平洋?インド洋に生息しています。ハワイ語でも名前があり、カラ(kala)と呼ばれています。海藻を主食とする魚で、体の色は黒褐色から灰色、成長すると50?60cmほどになります。テングハギ属に属する魚はテングハギの他に20種類ほどが確認されていて、その多くに角が生えています。テングハギの角はオスにもメスにも生えていますが、オスの方が大きい傾向があるようです。この角は個体間の競争や闘争の武器として使われそうですが、実はその目的には使われていません。テングハギが喧嘩をするときは、尾びれの付け根部分にある棘を使います。 テングハギは食用としてもなかなか美味しいそうです。刺身が特に美味しいとのことで、私はまだ食べたことがないですが、チャンスがあれば是非一度食べてみたいと思います。...

ハワイのトレイルその30~ココ・クレーター(オアフ島)その2

ハワイのトレイルその30~ココ・クレーター(オアフ島)その1の続きです。 ワイキキ方面から車で行く場合は、Kalaniana‘ole Highwayを東に進み、ココ・マリーナ・センターでLunalilo Home Roadを左折し、2ブロック進みます。Anapalau Streetを右折し、しばらく進むと左側に広いパーキングロットがあります。ここに駐車して、Lunalilo Home Roadの終わりまで進み、T字路を左折し、しばらく進むと登り口に出ます。バスの場合は、22番バスでココ・マリーナ・センターまで行くことができます。 トレイル沿いには、キアヴェ、コア・ハオレ、アアリイなどが生えています。山頂付近ではイリマも見ることができます。直径2cmくらいの黄色い花を探してみましょう。11月~5月の間は、沖合いにザトウクジラの姿を遠望するチャンスもあるでしょう。また上空では、オオグンカンドリ(イヴァ)が優雅に滑空しているかもしれません。 山頂からは、ハナウマ・ベイ、ココ・ヘッド、ダイヤモンド・ヘッド、マカプウ・ポイントなど、島の東部を360度見渡すことができます。天気が良ければ遠くにモロカイ島、マウイ島、ラナイ島も見えます。人気のあるコースですので、ほとんどの場合は大勢の人たちと一緒に登り下りすることになります。汗をたくさんかくので飲料水は必需品です。帰りは来た道を下ります。 おわり 「画像1」登り口付近 「画像2」山頂から見たクレータの内側 「画像3」中腹から見たハワイ・カイ、ダイヤモンドヘッド方面...

オーナメンティッド・ラスの話

ワイキキ水族館に、とても綺麗な配色をしたベラがいます。複雑な模様なので言葉で表現するのは難しいですが、ピンクっぽい頭には緑の横筋が入り、腹部はブルー、体側は三日月型をした赤と緑の点が交互に並び、尾ひれは赤に緑の斑点。今日はこの、水槽でとても目を引くオーナメンティッド・ラスと呼ばれる魚の話をさせて頂きます。 オーナメンティッド・ラスはスズキ目ベラ科に属する魚で、オーネート・ラス(wrass=ラスはベラ類の魚のこと)とも呼ばれます。オーナメント(ornament)は装飾のこと、オーネート(ornate)は彫刻を施したような、といった意味なので、いずれもその綺麗な体色から名付けられたものと思われます。ハワイ語ではオフア(’ohua)と呼ばれています。日本に生息するツキベラに近い魚で、体の模様もよく似ています。オーナメンティッド・ラスは最後賞に生息する無脊椎動物を主食としますが、餌を取るために口の中には犬歯が隠されています。   ベラの仲間は性転換をすることがよく知られています。一般的に小さめで模様がそんなにはっきりしていない個体はメスで、成長して体が大きくなるとオスになり、体の模様もよりはっきりとカラフルになっていきます。ワイキキ水族館のオーナメンティッド・ラスも、写真のように綺麗な模様の魚はオスだと思われます。...

ハワイのトレイルその30~ココ・クレーター(オアフ島)その1

  オアフ島東部にあるココ・クレーターの縁の頂(368m)まで登るトレイルです。ココ・クレーターは、ダイヤモンド・ヘッドと同じように、噴火によって吹き積もった火山灰が固まってできた凝灰岩丘(タフコーン)です。クレーターができたのは約1~5万年前だと考えられています。     ココ・クレーターのすぐ南西には有名なハナウマ・ベイがあり、その先にはココ・クレーター同じく凝灰岩丘であるココ・ヘッドがあります。ココ・クレーターのことをココ・ヘッドと呼ぶ人が沢山いますが、誤りです。ただし、ココ・クレーターを含めた一帯は、ココ・ヘッド地区公園(Koko Head Regional Park)の領域になります。クレーターの内側は、植物園(Koko Crater Botanical Garden)になっています。     ココ・クレーターは、上空から見ると蹄鉄のような形をしています。クレーターの頂上には、第二次世界大戦時に建てられた、軍の施設の跡が残っています。クレーターの南西側の麓から頂(蹄鉄でいうとつま先部分)までの斜面に、大戦当時に敷かれたレールがあります。このレールを往復するのが今回紹介するトレイルです。かなりの運動量になるため、地元ではエクササイズやトレーニングのためのコースとしても人気があります。 その2につづく  ...

モイの話

ワイキキ水族館の屋外に、丸い水槽があります。数年前まではここでマヒマヒ(シイラ)が回遊していたのですが、現在はモイという魚が展示されています。モイはたまにスーパーの魚売り場で売られていますし、和食レストランで焼き魚としてメニューに載っていることもあり、美味しい魚として知られています。今回はこの、モイのお話をさせていただきたいと思います。             モイ(Moi)というのはハワイ語で、英語名は”Six-fingered threadfin”(直訳すると6本の指上の細長いヒレ)、日本名は「セイヨウアゴナシ」といい、スズキ目ツバメコノシロ科に属しています。日本名に「アゴナシ」と付いているように、下顎が短いのが特徴です。また、英語名のように、胸鰭から6本の長い糸状の物が出ています。尾鰭は上下二股に分かれています。銀色の体で、成長すると約45cmになります。昔のハワイではモイはとても珍重された魚で、養魚池(フィッシュポンド)で養殖され、王族しか食べることができませんでした。最近はまたフィッシュポンドで養殖されているようで、現在は誰でも食べることができます。 ところで、数年前の話ですが、ワイキキ水族館のモイが一晩で15匹も盗まれたことがありました。美味しい魚なので、盗んでまでも食べたかったのでしょうか?しかし、一匹何十万もするわけではないし、色々な意味で普通に買ったほうが安かったんじゃないかな、と思いました。...

ミロ(サキシマハマボウ)

ミロは、ハワイの海岸近くで見られる木です。同じように海岸近くに多いハウの木に似ていますが、ミロの方が葉の色が濃く、光沢があり、先が長く尖っています。ハワイに自生していたのか、それとも古代ポリネシア人によってハワイに持ち込まれたのか、はっきりとはわかっていない点もハウと同じです。 ハワイでは標高275m以下の海岸近くに自生するほか、ビーチパークなどに植えられていることも多い木です。ハワイ以外でも、熱帯地方の沿岸に広く分布します。木の高さは5~10m。葉は長さ5~30cmで、光沢があるハート型です。花は明るい黄色で、同じアオイ科のハイビスカスに似ていますが、全体がカップ型のベルのような形をしています。果実は直径2.5~4.5cmで、上下からつぶしたような球形です。 ミロの枝は横に広がるため、ハワイ人は木陰を作るためにミロを家の近くに植えることが多かったようです。今日でも、公園などのミロの木陰でピクニックを楽しむ家族連れの姿が見られます。また、材木からは器や皿などが作られたほか、古代ハワイ人はミロの若葉を食用にしていたと言われています。 日本語名:サキシマハマボウ(先島浜朴) ハワイ語名:milo 英語名:portia tree 学名:Thespesia populnea 分類:アオイ科(Malvaceae)サキシマハマボウ属(Thespesia) その他:在来種かポリネシアン移入種か不明  ...

マニニの話

He Aloha No ‘O Honoluluというハワイアンソングがありますが、この歌の中に、マニニという魚が登場するのですが、皆さんはマニニがどんな魚かご存じでしょうか?マニニはハワイの海でよく見られる小型の魚です。今回は、このマニニについてお話ししたいと思います。 マニニというのはハワイ語で、日本語ではシマハギ、英語ではConvict tangもしくはConvict surgeonfishと呼ばれる魚で、スズキ目ニザダイ亜目ニザダイ科に属しています。たいちょうは20cmほどで、一番の特徴はその楕円形でクリーム色っぽいの体に縦に走る5、6本の黒い縞模様です。英語名の“convict”とは囚人のことで、白と黒の縞模様が囚人服のように見えるから、その名が付けられたと言われています。熱帯の珊瑚礁の比較的浅い海に生息し、主に岩の表面やサンゴの隙間などに生えている小さい海藻を餌としています。 ニザダイの仲間は尾に刃のようなトゲを持っていて、それは競争や防御のために使われています。もちろんマニニにもこのトゲはありますが、あまり発達していません。マニニは、大きな群れを作ることと、その体の模様によって、捕食者からの攻撃を防いでいると言われています。マニニのような海藻を主食とする魚は、サンゴより成長の速い海藻が珊瑚礁にはびこるのをふせぐ、大切な役割をしています。ワイキキ水族館にもたくさんいますので、ぜひどんな魚か見てみてください。...