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ブーゲンビリア

ブーゲンビリアは、中央アメリカや南アメリカが原産の低木です。ハワイでは民家の生け垣、ビルのフェンス、ホテルなどにたくさん植えられているほか、レイにも使われ、人気があります。愛好家の間では、「bougies」という愛称でよばれることもあります。 ハワイには今から約200年ほど前に入ってきたと考えられています。ハワイでは主にB. glabrasとB. spectabilisの2種と、多くのハイブリッド種があります。白い小さな花を取り巻く紫、赤、ピンク、オレンジ、白などのたいへん鮮やかな色の葉(包葉)が印象的です。包葉は、原産地に生息するハチドリ(ハミングバード)を誘うために、このような鮮やかな色に進化したのだと言われています。品種によっては、まるでネオンのように鮮やかなピンク色のものもあります。 ブーゲンビリアという名前は、18世紀にB. spectabilisをブラジルのリオデジャネイロで見つけたフランス人航海者、ルイ・アントワーヌ・ド・ブーガンヴィル(Louis Antoine de Bougainville、1729–1811)にちなんで付けられたのだそうです。 日本語名:イカダカズラ ハワイ語名:― 英語名:bougainvillea 学名:Bougainvillea spp. 分類:オシロイバナ科(Nyctaginaceae)イカダカズラ属(Bougainvillea) その他:外来種(alien) ——————————————————————— 「画像1」ブーゲンビリア 「画像2」ブーゲンビリア 「画像3」ブーゲンビリア...

ゴリラ・オゴの話

少し前に外来種の海藻のお話をさせて頂きましたが、ハワイで問題になっている外来種の海藻一つがゴリラ・オゴです。しかしこの海藻、何故かハワイでは養殖されていたりして、ポキによく使われているのです。先日も、とあるスーパーで購入したポキにゴリラ・オゴが入っていました。そこで今回は、このゴリラ・オゴのお話をさせて頂こうと思います。 ゴリラ・オゴは学名をGracilaria salicornia といい、名前からも分かる通り、よく食用とされるオゴの仲間です。しかしハワイでよくポケに使われている海藻は、スーパーやフィッシュマーケットで「オゴ」として売られているものではなく、ハワイ語でリム・マナウエア limu manaueaと呼ばれるものです。マナウエアもオゴもゴリラ・オゴと同じGracilaria属になります。 ゴリラ・オゴは1970年代に人為的にオアフに持ち込まれ、その後各地で増殖し問題を引き起こしています。ワイキキでは、大波の後などに海岸に大量に打ち上げられていることも。また、ゴリラ・オゴは一般的な海藻に比べると固く、ずっしりと重たいマット状になって増殖していきます。このマットが、ほかの固有種の海藻やサンゴが生育できないような状態を作ってしまうのです。   問題児のゴリラ・オゴですが、冒頭でもお話しした通り、養殖されて食用としてスーパーで売られていることもあります。さすがにスーパーではゴリラ・オゴではなく“robusta”と呼ばれています。マナウエアより歯ごたえがあるので、その食感を好む人もいますが、私はやっぱりマナウエアの方が好きです。...

バード・オブ・パラダイス(ゴクラクチョウカ)

ハワイの観光客にとって、オレンジ色の鶏冠を持つ鶴のような鳥の頭を連想させるカラフルで美しい花は、いかにも南国気分を盛り上げてくれます。バナナやヘリコニアなどとおなじショウガ目に属する植物です。ヘリコニアと同じように、観賞用として栽培され、花屋などで販売されています。民家の庭でもよく見られます。キルトなどのハワイアンアートや、ステンドグラスなどの工芸品のモチーフとして使われることも多い植物です。 葉はバナナの葉に似ていて、長さは90~120cm。茎のように見えるのは葉柄です。花の形を鳥に例えた場合に、嘴の部分にあたるのは苞です。花は2週間以上咲き続けます。アフリカに生息するタイヨウチョウ(太陽鳥)という鳥が花粉を運んで受粉するような作りになっているため、タイヨウチョウが生息しないハワイでは、種を作ることはほとんどありません。   白色の花を咲かせる近縁種(Strelitzia nicolai)もあります。こちらはジャイアント・ホワイト・バード・オブ・パラダイス(giant white bird of paradise)などと呼ばれ、6mくらいまで成長し、ハワイでは広大な敷地を持つリゾート地や商用施設に植えられることが多いようです。 日本語名:ゴクラクチョウカ(極楽鳥花) ハワイ語名:― 英語名:bird of paradise 学名:Strelitzia reginae 分類:ゴクラクチョウカ科(Strelitziaceae)ゴクラクチョウカ属(Strelitzia) その他:外来種(alien)  ...

ウミガメと腫瘍の話

最近、長女は学校で海の生き物の勉強をしているらしく、私に色々とウミガメの話を聞いてきました。その中で話題に上がったのがアオウミガメの腫瘍の事。ハワイでも腫瘍を発症しているアオウミガメがよく見られます。そこで今回は、このウミガメの腫瘍のお話をさせて頂きます。 この腫瘍は「フィブロパピロマ」(fibropapilloma)と呼ばれるもので、1930年代頃から見られるようになったといわれています。1980年代になって、ハワイとフロリダで腫瘍を発症したアオウミガメの数が劇的に増加しました。腫瘍は目や口、首やヒレの付け根、内臓に多く見られ、大きくなるとカリフラワーのような形になります。腫瘍が大きくなると、目が見えなくなったり、摂食が出来なくなったり、内臓が正常に働かなくなったりして死んでしまいます。腫瘍の発生にはヘルペスウィルスが関係していると思われますが、ヘルペスウィルスはどこにでもいるウィルスであり、これが何故1980年代以降に爆発的に増えたのかは未だにはっきりとわかっていません。腫瘍を発症したウミガメに対しても効果的な治療方法はなく、体の外側に出来た腫瘍の切除に留まっています。 腫瘍の増加の原因の一つはウミガメの住む海域の水質汚染と考えられていますが、これも今のところ直接的な証拠は見つかっていません。水質汚染が直接腫瘍を発症させるわけではなく、汚染と共に色々な要素が複合的に働いて発症するのではないかと思われます。最近では日本でも腫瘍を発症したアオウミガメが多数見られるようになったということで、ますます早急な原因究明が待たれます。...

バードウォッチングinアラモアナビーチパーク~その2

バードウォッチングinアラモアナビーチパーク~その1のつづきです。 水辺では、8月から4月にかけて、アウクウの他にウーリリ(メリケンキアシシギ)の姿も見ることができるかもしれません。ウーリリは、アラスカや東シベリアで繁殖し、南カリフォルニア、ハワイを含めた太平洋諸島、オーストラリアなどで越冬する渡り鳥です。澄んだ声で「トゥーリッリッリッ」と繰り返して鳴きます。 同じ時期の芝生エリアやパーキングロットでは、同じく渡り鳥のコーレア(ムナグロ)が虫を探して歩き回っている姿も見ることができるでしょう。また、上空では『ホノルル市の鳥』であるマヌオクー(シロアジサシ)が単独もしくはペアで軽やかに飛んでいるかもしれません。 アラモアナビーチパークに隣接して、マジックアイランド(Magic Island)と呼ばれる人工の半島があります。芝生になっていて、地元の人たちのピクニックの定番スポットの一つです。このマジックアイランドの海沿いや、先端にあるラグーンでは、8月から4、5月の間、アケケケ(キョウジョシギ)という渡り鳥が数羽の群れで食べ物を探している姿が見られるでしょう。アケケケは、嘴で小石をひっくり返して、その下にいる虫や甲殻類を探して食べます。 おわり ——————————————————— 「画像1」ウーリリ(メリケンキアシシギ) 「画像2」マヌオクー(シロアジサシ) 「画像3」アケケケ(キョウジョシギ)...

フムフムヌクヌクアプアアの話

6歳になる長女は学校で週一回、放課後にフラを習っています。彼女が先月あった学園祭で披露した曲がMy Little Grass Shackだったのですが、この曲は歌詞の中にフムフムヌクヌクアプアア(humuhumunukunukuapua`a)がでてきます。 フムフムヌクヌクアプアアはハワイ州の州魚ですが、とっても長い名前ですので、略してフムフムとか、フムだけで呼ばれることも多いです。長女もフラの先生にフムフムについて教わったようで、帰りの車の中で一生懸命お話ししてくれました。そこで今回は、このフムフムのお話をしたいと思います。 フムフムは日本語名では「タスキモンガラ」と呼ばれるモンガラカワハギの仲間です。フムフムヌクヌクアプアアを日本語に訳すと、「豚のような鼻の魚」という意味になります。どうも本当に怒らせると「ぶーぶー」と豚のように鳴くらしいのです。しかし私は実際に聞いたことはありません。というのも、怒らせる隙がないくらいすばしっこいのです。スノーケルで泳いでいると比較的どこでもお目にかかれるので、思わず写真を撮りたくなりますが、フムフムをカメラに収めるのは至難の業です。シャッターを切った時にはもうカメラの前にはいないのです。 ワイキキ水族館でフムフムの写真を撮ろうと思った時も、職員の方に「フムの写真を撮ろうっていうの?最高に難しいわよー。」と言われました。やはりあまりいい写真が撮れませんでした。すいません。  ...

バードウォッチングinアラモアナビーチパーク~その1

アラモアナセンターから大通りを挟んだ向かい側に800m以上続くアラモアナビーチ。そのビーチを囲むように整備されているのが、アラモアナビーチパークです。地元の人たちの間で最も人気のある公園の一つで、週末には海水浴、ピクニック、バーベキュー、テニス、ジョギングなどを楽しむ家族連れで賑わいます。そんな市民の憩いの場であるアラモアナビーチパークは、野鳥観察の好ポイントでもあります。 ビーチパーク内では、カワラバト、チョウショウバト、カノコバト、イエスズメ、メキシコマシコ、シリアカヒヨドリ、メジロ、コウカンチョウ、ブンチョウ、インドハッカ、オナガカエデチョウなどの野鳥を、簡単に見つけることができるでしょう。 以上の鳥はすべて外来種ですが、アラモアナビーチパークには元からハワイに暮らしている在来種もいくつか生息しています。公園内には池があり、小川が流れています。この水辺では、アウクウ(ゴイサギ)がじっと魚を探している姿を見ることができるでしょう。もし川で魚釣りをしている人がいれば、その釣り人のそばに寄って来て、釣り上げた魚をもらえることを期待してじっと待っていたりします。アウクウは、大昔に自力でハワイにたどり着いたと考えられています。 その2につづく  ...

オオシャコガイの話

この前、小学1年生になる長女がワイキキ水族館に遠足に行ってきました。何を見て何を学んだのか、色々と話してくれたのですが、その内の一つに屋外の広場に展示されているきれいな色の貝がありました。そこで今回は、オオシャコガイという、このきれいな二枚貝のお話です。 オオシャコガイ(英語ではGiant Clam)は太平洋、インド洋の暖かいサンゴ礁の海に生息する世界最大の貝で、体長1m以上、体重200kg以上になることもあります。ワイキキ水族館の屋内にある水槽にも、かなり大きなオオシャコガイが展示されています。寿命はなんと、100年以上もあるそうです。以前、ハワイ大学の授業中に見たビデオでは、南太平洋の島の人々がこのオオシャコガイの殻を赤ちゃんの入浴に使っているシーンがありましたが、たしかに赤ちゃん用のお風呂にぴったりです。結構古いビデオ(白黒でした)だったので、今でも使われているのかどうかは定かではありませんが・・・。 オオシャコガイの殻は波状をしていて、海底に上向きに殻を少し開いた状態で生息しています。2枚の殻の間から青や緑のきれいな色をした外套膜をのぞかせていますが、この色は共生している渦鞭毛藻の褐虫藻(以前お話したサンゴに共生しているものと同じです)によるものです。オオシャコガイがこんなに大きく成長できるのは、この褐虫藻が光合成してできた栄養分のおかげなのです。  ...

カワラバト(河原鳩)

ヨーロッパ、アジア、アフリカが原産のハトです。ハワイには、ヨーロッパから1796年に最初に移入されました。ジェームス・クック(1728–1779)がハワイに到達した1778年からわずか8年後であり、カワラバトは、ヨーロッパ人のハワイ「発見」以降、最初に移入された鳥の一つです。日本にも外来種として多く生息し、神社や駅などで普通に見られます。 ハワイでは主要6島すべてに生息します。都市部で人間の生活に密着している個体がほとんどですが、海岸の崖や山間の峡谷で、本種の本来の環境に近い生活をする個体もいます。崖、ビルの柵、ココヤシ、バニヤン、アイアンウッドなどに巣を作り、2個の白い卵を産みます。 全長約30cm、雌雄同色。色彩はバラエティに富んでいますが、基本的に体は灰色で、頸は光沢のある玉虫色、尾羽の先は黒色、虹彩と足は赤色で、翼には二本の黒帯があります。草の種子などを主に食べます。「ホー、ホー」とソフトに鳴きます。都市部では体が真っ白な個体も多く見られます。ホノルルでは、むしろ白い個体の方が多いかもしれません。 日本語名:カワラバト(河原鳩) ハワイ語名:― 英語名:Rock Pigeon 学名:Columba livia 分類:ハト科(Columbidae) その他:外来種(alien)...

海藻と海草

現在の私の専門は海藻で、所属する研究室も非公式に「海藻研」なんて呼ばれたりしているのですが、この「かいそう」という文字を変換すると、「海藻」と「海草」と二通り出てくるのです。どっちでも同じように思えますが、実は海藻と海草は全く別の植物なのです。海藻は英語にするとseaweedもしくはalgae(アルジーまたはアルギー)で、日本人の食卓に欠かせないワカメや昆布、海苔などを含む藻類のことです(ちなみにalgae は複数形で単数形はalga(アルガ))。一方、海草は英語でseagrassで、陸上の植物と同じような葉っぱを持つ被子植物のことをいいます。今回はこの海藻と海草のお話をさせて頂きます。 海藻は主に波の強く当たる岩場に生息していて、海水に溶け込んでいる養分を体から直接吸収します。これに対し海草は砂や泥などの柔らかい底に根をはって、そこから養分を吸収します。海藻は主に胞子によって繁殖しますが、海草は陸上の植物のように花を咲かせて種を実らせることで繁殖します。海藻と海草は進化の過程も大きく違います。陸上の植物は元々海藻から進化したものです。反対に、陸上の植物が再び海中に生息地を移したのが海草です。 海藻は持っている色素によって大きく緑藻(green algae)、紅藻(red algae)、褐藻(brown algae)の3種類に分けられます。海苔は紅藻、昆布は褐藻です。ワカメは緑色をしている気がしますが、分類上は褐藻類になります。ハワイの海には500種類以上の海藻類が生息していますが、海草はたったの2種類だけです。私も未だに、この2種類の海草が海の中に生えているのを見た事がありません。...