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イワシャコ

イワシャコは、ウズラを一回り大きくして色を明るくしたような鳥です。原産地はアジアと東ヨーロッパで、ハワイには1923年に移入されました。1959年にハワイに移入されたハイイロイワシャコ(英語名:Rock Partridge、学名:A. graeca)とよく似ていますが、こちらはハワイで定着しませんでした。 ハワイの主要6島すべてに生息します。モロカイ島、ラーナイ島、マウイ島、ハワイ島に多く、カウアイ島とオアフ島ではあまり見られません。標高300~3,000mの、植物が少ない乾燥した岩場を好みます。マウイ島のハレアカラー国立公園(マウイ島)やハワイ島のサドル・ロードなどで、岩の間を走っていたり、岩の上に立って辺りを見渡している姿が見られます。 全長35cm。雌雄同色。上面は灰色がかった茶色で、下面は明るい色です。喉は白色で、脇に白黒の濃い縞模様があります。額から目、首を通り胸でつながる黒色の太い線があります。耳の部分は茶色です。嘴と足は赤色です。目の周りには赤いリングがあります。鳴き声は、大きな「チャック、チャック、チャック」。英語名のChukarは、この鳴き声に由来します。雌は「コワッ、コワッ、コワッ」と鳴き、雌鶏の鳴き声に似ています。 日本語名:イワシャコ(岩鷓鴣) ハワイ語名:― 英語名:Chukar 学名:Alectoris chukar 分類:キジ科(Phasianidae) その他:外来種(alien)...

ケヤリムシの話

ハワイの海で泳いでいると、たまに棒のようなものの先に羽のようなものを広げた状態の生き物を見かけることがあります。ちょっとでも刺激があると、この羽のようなものをシュッと一瞬で引っ込めてしまうこの生き物、実はゴカイの仲間なのです。今回は、この不思議なケヤリムシという生き物についてお話ししたいと思います。   ケヤリムシは、環形動物門多毛鋼ケヤリムシ目ケヤリムシ科に属する生き物です。環形動物というのは、地上でいうとミミズと同じ仲間です。ケヤリムシという名前は、その見た目が大名行列の先頭の毛槍を連想させることからきていますが、英語ではやはり見た目からfeather duster worm(feather dusterは羽のはたき)と呼ばれています。毛槍やはたきの棒にあたる部分は、泥や砂を粘液で固めて作った管で、この中に柔らかい体が収まっています。この管は、岩などに固着していて動きません。羽のような部分は触手で、この触手には呼吸と、食物をろ過して捕食する役割があります。また、管の材料となる砂や泥も、この触手で集めています。 ケヤリムシは、管の部分が13cm前後、羽の部分は大きいもので広げると直径15cmくらいになります。この大きな羽が、一瞬で引っ込むのを見るのはとても面白いです。しかし、羽を広げている姿もなかなか綺麗ですので、もし見つけたら少しの間観察してみてください。...

ハワイのトレイルその31~オリンポス山(オアフ島)その4

  ハワイのトレイルその31~オリンポス山(オアフ島)その3の続きです。平地から先は、レフア・アーヒヒという、オアフ島のみで見られる珍しい植物が自生しています。有名なオーヒアの近縁種です。しばらく進むと、標識があり、道が二つに分かれます。左へ下るコロワル・トレイルは、マーノア・バレーのプウ・ピア・トレイルに繋がる道です。右のワアヒラ・リッジ・トレイルを進みます。 少し下ったあとはひたすら登りになります。左手のマーノア・バレーの向こうに見えるのはラウンド・トップとタンタラス山です。山頂近くは傾斜が急で地面も深く侵食されています。足元に気をつけながら登ります。やがてコオラウ山脈の頂に達します。ここから、すぐ右手前方にあるオリンポス山の山頂に向けて、草木の生い茂った尾根の上を進みます。やがてオリンポス山の広い開けた山頂(757.7m)に達します。 山頂からは、ホノルル側と、カネオヘなどがあるウインドワード(貿易風の風上側)の両方の景色が望めます。山頂の一番奥まで進むと、カアウ・クレーターと呼ばれる、山中に隠れたクレーターが見えます。帰りは、来た道を戻ります。 おわり 場所:ホノルル(オアフ島) コース:往復 往復距離:約9.7km 高低差:約457m 「画像1」レフア・アーヒヒ 「画像2」マーノア・バレーの向こうに見えるラウンド・トップとタンタラス山 「画像3」山頂からウインドワードを望む 「画像4」カアウ・クレーター...

オオグソクムシの話

ダンゴムシといえば、触ると体をくるっと丸めるお馴染みの虫ですが、実はハワイには生息していません。なので、我が家の長女は日本に遊びに行くと、ダンゴムシを見つけては捕まえて喜んでいます。このダンゴムシ(もしくはワラジムシ)に似た虫が海の中にもいるのですが、ダンゴムシとひとつ違うのはとても大きいこと。今日はこの、海の中の大きなダンゴムシ、オオグソクムシについてお話しさせていただきます。 オオグソクムシは、節足動物門甲殻亜門等脚目スナホリムシ科に属する生き物で、ダンゴムシやフナムシの仲間です。等脚目の仲間では日本では最大で、体長が15cmほどにもなります。ダンゴムシが大体1-1.5cmですから、相当大きいですね。最近はその見た目から人気上昇中らしく、水族館でもよく展示されているようです。オオグソクムシは水深150-600mの深海に住んでいて、海底の死んだ魚や小動物を主食としていると言われています。海に住んでいるので泳げるらしく、泳ぐ時は仰向けで泳ぐそうです。 オオグソクムシの一番面白いところは、口から臭い液を出して身を守るということ。人間でも口臭のひどい人には誰もが近寄りたくないと思いますが、身を守れるほど臭いって、オオグソクムシの口臭はどれだけ臭いんでしょうか?しかも水中なのに。怖いもの見たさでちょっと嗅いでみたいような、みたくないような…。...

ハワイのトレイルその31~オリンポス山(オアフ島)その3

ハワイのトレイルその31~オリンポス山(オアフ島)その2の続きです。クック・パインの林が終わると、ストロベリーグアバが左右に茂るゆったりとした登り道になります。さらに進むと、道は急な下りになり、アイアンウッドの林の中を通ります。アイアンウッドの林を抜けると、景色が開け、左にマーノア・バレー、右にパーロロ・バレーが見えます。この辺りではイリマがたくさん見られます。イリマの黄色い花は、『オアフ島の花』に指定されています。 道はアップダウンを繰り返し、3つの小さな丘を越えます。大きな岩を両手を使って下るような場所もあります。再びストロベリーグアバの森になり、緩やかな登り道を進みます。やがて道幅が広くなり、コア、オーヒア、イエイエなどの在来植物が現れ始めます。ここから先は、アパパネやオアフ・アマキヒなどの野鳥の鳴き声が聞こえたり、姿を見ることができるかもしれません。 コアとオーヒアの森の道を進むと、やや広い平地に出ます。左手にはホノルル市内やオアフ島南海岸の素晴らしい景色が望めます。ここから先は道が険しく、傾斜も急になるため、この広場を折り返し地点にして、往復2時間弱の軽めのハイキングを楽しむハイカーも多いようです。 その4につづく  ...

ウミガメの日光浴の話

ノースショアのハレイワの先にあるラニアケアビーチ(Laniakea Beach)はウミガメのビーチとして有名で、ご存知の方も多いのではないでしょうか?このビーチにはたくさんのアオウミガメが住んでいて、毎日のように砂浜に上がって日光浴(甲羅干し)をしている姿が見られます。今回は、このウミガメの日光浴についてお話ししたいと思います。 ラニアケアビーチには、日中ボランティアが常駐していて、日光浴をしているウミガメに近付き過ぎないように注意を促したり、見物客の質問に答えたりしています。私も10年近く前、このボランティアが今の体勢になる以前に、ラニアケアでボランティアをしていました。ボランティアの人々は、研究者のためのデータも取っていて、どのウミガメがどのくらい日光浴をしていたかなどを記録しています。このデータによると、ウミガメは海水温が低い時の方が日光浴をすることがわかりました。ウミガメの日光浴は体温調節のためというのが一般的な説ですが、免疫力強化や消化を助ける働きもあるのでは、とも言われています。 地球温暖化による海水温の上昇がこのまま続くと、ハワイのウミガメは早ければ2039年までに日光浴をしなくなるかもしれない、と研究者は言っています。また、全世界では2100頃までにウミガメの日光浴は見られなくなるだろう、とのことです。地球温暖化は色々な野生動物の生態に影響を及ぼしているのですね。...

ハワイのトレイルその31~オリンポス山(オアフ島)その2

ハワイのトレイルその31~オリンポス山(オアフ島)その1の続きです。レクレーション・エリアには、駐車場、トイレ、水道、バーベキュー施設、テーブルなどが設置されていて、ピクニックや軽いハイキングを楽しむ家族連れも多く見られます。一帯ではアカハラシキチョウの姿を見ることができるでしょう。オレンジ色の腹部、長い尾、メロディアスで美しいさえずりが特長です。 ワイキキ方面から車で行く場合は、McCully Streetを山側へ進み、Kapi‘olani Blvd.で右折します。Lunalilo Freeway(H-1)の高架下を通り、St. Louis Driveを左折し、St. Louis Drive、Bertram Street、Peter Streetの順で登ります。Peter Streetが終わる前にバス停があり、小さなロータリーがあります。ここを左折し、Ruth Placeを進むとすぐにワアヒラ・リッジ・ステート・レクレーション・エリアの入り口があります。 バスで行く場合は「St. Louis Heights」行きの14番バスで終点のRuth Placeで下車します。バス停からトレイルの入り口までは約650mです。レクレーションエリアを奥の方まで進むと、「Wa‘ahila Ridge Trail」の入り口を示す標識があり、トレイルに入ります。トレイルの入り口付近はクック・パインという、ナンヨウスギ科の針葉樹の林です。 その3につづく 「画像1」アカハラシキチョウ 「画像2」トレイルの入り口付近 「画像3」クック・パインの林...

サンゴの白化現象の話

2014年の後半、ハワイでは深刻なサンゴの白化現象が観測されていました。白化現象はカウアイ島からハワイ島まで、浅瀬の海で観測されましたが、特にひどかったのはオアフ島のウインドワードサイド(風上側)、カネオヘ湾で、80%のサンゴが白化したと報告されています。今回は、このサンゴの白化現象についてお話ししたいと思います。 以前サンゴの話のところでもお話ししましたが、サンゴの体内には褐虫藻という単細胞の藻類が共生しています。サンゴの綺麗な色はこの褐虫藻によるものです。また、褐虫藻が日中光合成をして、できた養分をサンゴに提供しています。サンゴの白化現象とは、何らかのストレスによって、この褐虫藻がサンゴの体外に放出されることで起こります。白化を引き起こすストレスの第一には、海水温の上昇が挙げられます。褐虫藻が放出されてもしばらくサンゴは生きていますが、白化が長引くと死んでしまいます。 今回のハワイのサンゴの白化は観測史上最悪と言われていますが、やはり海水温が例年になく高温だったことが原因です。幸運にも、白化したサンゴのほとんどは回復しました。しかし、今年の後半はまた、エルニーニョのためにハワイの海水温が上昇することが予測されていて、次の白化にサンゴが果たして耐えられるのか、専門家たちは危惧しています。さらに最近、別のサンゴの病気が観察されていて、ハワイのサンゴにとっては受難の時期が続いています。...

ハワイのトレイルその31~オリンポス山(オアフ島)その1

ホノルル市内にあるマーノア・バレーとパーロロ・バレーの二つの谷を隔てるセントルイス・ハイツから、ワアヒラ・リッジと呼ばれる尾根道を登り、コオラウ山脈の頂のひとつであるオリンポス山(Mount Olympus、757.7m)の山頂に達するトレイルです。 堂々とした山容のオリンポス山は、コオラウ山脈の中でも一際目立つ山です。しかし、山頂付近は雲に覆われていることも多く、そういう時は当然天気が悪く、地面はぬかるみ、景色は白い雲以外は何も見えない場合がほとんどです。出かける前にホノルル市内からオリンポス山をみて、もし山が厚い雲に覆われているなら、その日はオリンポス山へのハイキングは中止にするのが良策かもしれません。 Mount Olympusという名は、プナホウ・スクールの生徒たちによって付けられたそうです。名前の元はギリシアの有名なオリンポス山であるようです。ハワイ人からはAwaawaloa(直訳:長い谷)と呼ばれていました。トレイルの入り口は、ワアヒラ・リッジ・ステート・レクレーション・エリア(Wa‘ahila Ridge State Recreation Area)にあります。 その2につづく 「画像1」ワアヒラ・リッジから見下ろすパーロロ・バレー 「画像2」晴れた日のオリンポス山 「画像3」厚い雲に覆われたオリンポス山...

セイウチの話

先日、PCに保存されている海の生き物の写真を整理していたら、横で一緒に見ていた家族がとある生き物の写真のところですごく驚いていました。「何、このでっかいアザラシ!」しかし、それはアザラシではなくセイウチの写真でした。どうやらセイウチという生き物の事は全く知らなかったようです。まあ、ハワイにはワイキキ水族館にもシーライフパークにもいないので、見たことがないからしょうがないと言えばしょうがないのですが・・・。そこで今回は、このセイウチのお話をさせて頂きたいと思います。 セイウチといえば、やはりその巨体が特徴ですが、体長は3mほど、体重は重たいもので1トン以上にもなるそうです。地上では1トンの体を前ヒレだけ使って動くわけですから、それは見た目にも大変そうなわけですね。北極海沿岸に生息しているので、体が厚い皮下脂肪でおおわれています。しかし体表には毛が生えておらず、皮膚はごつごつしています。 セイウチのもう一つの特徴は大きな牙でしょう。この牙は、上あごの犬歯が大きくなったものですが、雄雌両方に生えます。オスのほうが牙は長くなり、1mくらいになることも。オスは勢力争い(セイウチはハーレムを作ります)にこの牙を使いますが、その他にも牙を使って水中から陸上に上がったり、エサを探すのに海底を掘ったりと、この牙は実に多機能なのです。口の周りには牙のほかにもたくさんのヒゲが生えています。このヒゲは海底でエサを探すのに役立ちます。その巨体と長い牙にミスマッチな、つぶらな目とモジャモジャのヒゲが、とってもキュートですよね。...