ハワイからのコンテンツ: 海の中を覗いてみれば

ハタタテダイの話

以前、ファインディング・ニモにも出てくるツノダシと言う魚のお話をさせて頂きました。そこで、ツノダシに見た目がよく似ているハタタテダイという魚について少し触れました。先日ワイキキ水族館に行った時、北西ハワイ諸島(パパハナウモクアケア海洋国家モニュメント)の展示に、このハタタテダイが泳いでいるのを見ました。そこで今回は、ハタタテダイのお話です。 ハタタテダイは、スズキ目スズキ亜目チョウチョウウオ科に属する魚で、英語名はペナントコーラルフィッシュ(Pennant coralfish)です。背びれが長く後ろに伸びていて、これが旗を立てているみたいだという事で、この名前がつきました。この長い背びれと黒い2本の縞模様が、ツノダシと似ていると言われる所以です。ツノダシとの違いは、ハタタテダイの尾ひれが黄色に対し、ツノダシは黒という事です。また、ハタタテダイは背びれの後ろ側と胸びれも黄色です。 ハタタテダイにはよく似た種にムレハタタテダイという魚がいます。違いは、ハタタテダイは大きな群れを作らず多くても数匹程度で行動するのに対し、ムレハタタテダイは大きな群れを作ること。それともう一つ、背びれの棘が11本なのがハタタテダイで、12本なのがムレハタタテダイだということです。えーと、、、ワイキキ水族館にいたのは数匹でしたが、水槽なので大きな群を作れるほどの数は飼えませんし、背びれの棘の数は水槽外からは確認できません。もしかしたら、ムレハタタテダイなのかも、、、。次回ワイキキ水族館に行った時は、どちらかちゃんと確認したいと思います。...

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Ulua(ウルア)の話

先日、娘二人を連れてワイキキ水族館に行ってきました。1才になったばかりの次女にとっては初めてのワイキキ水族館で、どんな反応を示すかと思っていたのですが、なかなか楽しんでくれたようです。一番興味を示していたのは、やはり大型の魚達が泳ぐ一番大きな水槽“Hunters on the reef”(サンゴ礁の狩猟者)でした。今回は、この水槽の中で泳ぐ大型肉食魚、Ulua(ウルア)のお話をさせて頂きます。 ウルアというのはハワイ語で、日本語ではロウニンアジ、英語ではGiant trevallyやJack fishと呼ばれています。ちなみにハワイ語のウルアはロウニアンアジだけでなく小型のアジも含みます。日本語の「アジ」という名前が指す通り、スズキ目アジ科に属する魚で、アジの仲間では最も大きいものです。体の大きさと顔の厳つさに気を取られて分かりにくいですが、よく見ると確かにその体は巨大なアジです。記録に残っている最大の個体は体長170cm、体重は約90kgですが、通常は体長80cm位、体重50kg程度までのものが多いです。 ウルアは肉食魚の中でも食物連鎖の頂点に立つ魚(頂点捕食者)で、小型の魚やエビ・カニ、タコなどを捕食します。ウルアに限らず頂点捕食者というのは、生態系全体を維持するのに重要な役割を果たしています。比較的自然な状態の生態系が保たれている北西ハワイ諸島では、ウルアが頂点捕食者全体の70%以上を占めています。しかし、その大きさから釣りの対象として人気があるため、人間の住むハワイ主要8島沿岸では個体数が少なくなってきているのが現状で、昔のような健全な生態系が維持できないことが危惧されています。...

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ウィーディーシードラゴンの話

ここでも以前タツノオトシゴのお話をさせて頂きましたが、タツノオトシゴはとても面白い魚(その時もお話ししましたが、実は魚なんです)なので、私の好きな魚の上位に入ってきます。しかし、そのタツノオトシゴよりも更に好きなのが、親戚であるリーフィーシードラゴンやウィーディーシードラゴンです。今回は、その一つのウィーディーシードラゴンのお話をさせて頂きたいと思います。   ウィーディーシードラゴンはタツノオトシゴと同じ、トゲウオ目ヨウジウオ科に属する魚ですが、オーストラリアの南部とタスマニア島にだけに生息しています。その細長い口をストローのように使い、主にアミなどの小型の甲殻類を吸い込むようにして食べています。見た目はタツノオトシゴに似ていますが、体が大きく最も大きいもので45cm以上になります。体の色は茶色っぽく、黄色い斑点がたくさんあり、海藻の葉のような付属器官があるのが特徴です。タツノオトシゴとの一番の違いは、タツノオトシゴの尾が何かに巻き付く事ができるのに対し、ウィーディーシードラゴンの尾は巻き付く事ができず、海の中を漂うようにして泳いでいる事です。ウィーディーシードラゴンもタツノオトシゴと同じように、メスが産んだ卵をオスが育児嚢で育て、孵化させ出産します。 写真はサンシャイン水族館のものですが、以前ワイキキ水族館でも以前展示されていた事があり、その時はとてもうれしかったです。今度はリーフィーシードラゴンも展示してくれると嬉しいな、と密かに期待しています。...

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トラフザメの話

以前サメのお話をさせて頂きましたが、サメにもホオジロザメのような人を襲うサメから、ジンベエザメのように大きいけどプランクトンを食べるサメまで、色々な種類があります。その中で私が一番好きなのはやはりジンベエザメなのですが、2番目に好きなのがトラフザメというサメです。そこで今回は、このトラフザメのお話をさせて頂きたいと思います。 トラフザメは軟骨魚類網テンジクザメ目トラフザメ科トラフザメ属に属するサメです。特徴的なのは成体の体表の斑点で、ヒョウ柄のような模様をしています。また、背側に5本の隆起線があり、尾ビレが他のサメに比べてとても長いので、体をうねらせるような独特の泳ぎ方をします。目が小さく、そのため顔がとても可愛く見えるのです(少なくとも私にはですが・・・)。 トラフザメは夜行性で、昼間は海底であまり動かずにじっとしていますが、夜になると餌の貝類やエビ・カニなどを捕るために活発に動きます。おとなしくて人を襲う事がほとんどないため、ダイバーにも人気があります。また飼育も簡単なので水族館でもよく見られ、ワイキキ水族館にもいます。サンシャイン水族館では、ダイバーのお姉さんがトラフザメに抱きついて泳いでいるのがすごく可愛かったです。私もトラフザメに抱きついてみたいな、と思ってしまいました。...

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ペリカンの話

先日、長女のクラスメートの家族に誘われて、久しぶりにホノルル動物園に行ってきました。 その時に大きなペリカンがいるのを発見しました。ペリカンと言えば、私も好きで何度もこちらでも触れているディズニー映画、ファインディング・ニモにも出てきます。そこで今回は、このペリカンのお話をさせて頂きたいと思います。             ペリカンは全世界で7種で、全てが鳥網ペリカン目ペリカン属ペリカン科に属しています。南北アメリカ、アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、スリランカなど比較的広範囲に分布しています。ちなみにホノルル動物園にいたのはアメリカシロペリカン、ファインディング・ニモに出てくるナイジェルという、ニモ達に外界の情報を教えてくれるペリカンはコシグロペリカン(別名オーストラリアペリカン)です(ニモを捕まえたのはシドニーの歯医者さんでしたね)。   ペリカンと言えば、やっぱりあの大きな嘴(くちばし)ですよね。皆さんもご存知の通り、下の嘴から喉にかけて皮膚が袋のように大きく伸びるのですが、あの袋は咽喉嚢と呼ばれています。この袋に水ごと餌となる魚を捕え、水だけ吐き出して魚を食べます。私はまだ実際にペリカンの袋が膨らんでいるのを見た事が無いので、一度見てみたいなと思います。一体どのくらいの魚を溜めておく事ができるのでしょうね。...

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ヒラメとカレイ

夏休みに日本に帰った時、とある日の夕飯に母が子持ち鰈の煮付けを作ってくれました。ハワイではあまり食べるチャンスがありませんが、そういえば子供の頃はよく食べていたっけ、ととても懐かしくなりました。ところで、私は白身のお魚のお寿司が好きで、ヒラメの握りも子供の頃から大好物です。ヒラメとカレイって似ていますが、違いはご存知でしょうか?ということで、今回はヒラメとカレイのお話をさせて頂きたいと思います。 ヒラメはカレイ目カレイ亜目ヒラメ科に属し、カレイはカレイ目カレイ科に属します。ですからどちらもカレイ目の魚で、ご想像通りそう遠くはない仲間なのです。では何が違うのかというと、御存じの方も多いかもしれませんが、一般的に頭の左側に両目があるのがヒラメ、右側にあるのがカレイなのです。面白いのは、ヒラメもカレイも稚魚の時はちゃんと目が頭の両側についていて、体も平べったくないのに、成長と共に目が片側に寄って行って、体も平たくなることです。 ヒラメとカレイのその他の違いは、ヒラメの方が口が大きい、ヒラメの寿命が長くて数年と短いのに対しカレイは長くて数十年生きるものもある、などなど。しかし私の勝手な区別はやっぱり食べ物に関するもので、ヒラメは刺身や寿司など生で食べるもの(舌平目のムニエルなんてのもありますが…)、カレイは煮付けや唐揚げなど火を通して食べるもの、ですね。...

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カウイラの伝説

私も昔からお世話になっているハワイのウミガメ研究家の方の名刺には、女の子の絵が描かれています。なぜウミガメ研究家なのに女の子なのかというと、この子がハワイの伝説に出てくる「カウイラ」というウミガメの化身だからです。そこで今回は、ハワイ島プナルウ(ブラックサンドビーチのあるところ)に住むと言われているこの「カウイラ」の伝説についてお話をさせて頂きたいと思います。 先ほども言いましたが、カウイラは人間の女の子の姿に変身できる力を持った、不思議なウミガメです。昼間は女の子の姿になって人間の子供達と一緒に遊び、子供達が安全でいられるよう見守っています。眠たくなるとカメの姿に戻り、カウイラの両親が黒砂を掘って作ってくれた真水の泉で眠ります。カウイラの泉は、プナルウ地区の人々に飲み水を提供したと言われています。人々はその昔、真水の湧き出る泉の底に潜り、ひょうたんの中に飲み水を汲んできたということです。 子供達を守り、飲み水を提供してくれるカウイラは、プナルウの人々にとても愛されています。以前訪れたブラックサンドビーチでは、海で遊ぶ子供達とともにたくさんのウミガメが泳いでいたり、日光浴をしたりしていました。その光景を見ていて、きっとカウイラのお陰で、子供達も安心して海で遊ぶ事ができるのだろうと思いました。...

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ヒラメとカレイ

夏休みに日本に帰った時、とある日の夕飯に母が子持ち鰈の煮付けを作ってくれました。ハワイではあまり食べるチャンスがありませんが、そういえば子供の頃はよく食べていたっけ、ととても懐かしくなりました。ところで、私は白身のお魚のお寿司が好きで、ヒラメの握りも子供の頃から大好物です。ヒラメとカレイって似ていますが、違いはご存知でしょうか?ということで、今回はヒラメとカレイのお話をさせて頂きたいと思います。 ヒラメはカレイ目カレイ亜目ヒラメ科に属し、カレイはカレイ目カレイ科に属します。ですからどちらもカレイ目の魚で、ご想像通りそう遠くはない仲間なのです。では何が違うのかというと、御存じの方も多いかもしれませんが、一般的に頭の左側に両目があるのがヒラメ、右側にあるのがカレイなのです。面白いのは、ヒラメもカレイも稚魚の時はちゃんと目が頭の両側についていて、体も平べったくないのに、成長と共に目が片側に寄って行って、体も平たくなることです。 ヒラメとカレイのその他の違いは、ヒラメの方が口が大きい、ヒラメの寿命が長くて数年と短いのに対しカレイは長くて数十年生きるものもある、などなど。しかし私の勝手な区別はやっぱり食べ物に関するもので、ヒラメは刺身や寿司など生で食べるもの(舌平目のムニエルなんてのもありますが…)、カレイは煮付けや唐揚げなど火を通して食べるもの、ですね。...

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キイロハギの話

子供の絵本を見ていたら、黄色い熱帯魚が出てきました。ハワイではお馴染みのこの黄色い魚は、もちろんワイキキ水族館にもよく展示されています。また、映画「ファインディング・ニモ」にもニモが捕えられた歯医者さんの水槽の仲間(役名:バブルス)として登場しています。今までにも「ファインディング・ニモ」にでてくる魚について何度かお話しさせて頂いた事がありましたが、今回はこの黄色い熱帯魚、キイロハギについてお話しさせて頂きます。   キイロハギはスズキ目ニザダイ科に属する魚で、ハワイを含む太平洋、インド洋、日本にも生息しています。成長すると体長は20㎝ほどになります。野生のキイロハギは小さな海藻類を主食としていますが、ウミガメの甲羅に生えた海藻を掃除する姿もよく見られます。また、八景島シーパラダイスではキイロハギにレタスを与えているそうです。       キイロハギはその名の通り、全身が鮮やかな黄色をしています(英語名はYellow tang)。色がきれいな魚なので、日本の水族館などでもよく見られますし、飼育用としても人気があります。ちなみに、全世界の飼育用のキイロハギの70%は、ハワイで捕獲されたものと言われています。よく見るお馴染みの魚とはいえ、そんなに捕られて大丈夫かな、とちょっと心配になりました。  ...

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ウニの話

毎年夏休みは家族と日本に帰省します。今年も2週間ほど滞在してきました。日本滞在中の一番の楽しみは食事です。ローカルの友達にも「日本に行ってくる」と言うと「美味しいもの食べて来るんだねー。」と言われます。何を食べても美味しかったのですが、滞在最終日に頂いたお寿司は絶品でした。お寿司と言えば、ウニは外せません。そこで今回は、ウニのお話。 ウニは棘皮(きょくひ)動物門に属していて、同じ棘皮動物の仲間にはヒトデやナマコがいます。トゲトゲに覆われていますが、私達が良く見かけるものは毒があるわけではないので、触っても大丈夫です。トゲの長いものは毒がある事があるので、気をつけましょう。ウニの多くは草食性なので、 ハワイ大学の研究所ではウニを飼って水槽内に海藻が蔓延らないようにしていることも。ウニの口はトゲトゲとは反対側の裏面中央にあり、ウニをひっくり返してよく見ると小さい穴があるのが分かります。実験でウニの解剖をした時に一番面白かったのが、「アリストテレスの提灯」と呼ばれる器官です。「なんでアリストテレスの提灯?」と、名前のインパクトが強かったのですが、これは口のすぐ内側にある咀嚼器で、歯の役割をしています。 ハワイ大学にはウニの研究をしている人もいます。自生種(ハワイに元々いる種)のウニを使って外来種の海藻を減らす方法など、海藻が専門の私にとってもおもしろい研究です。しかし以前、ウニの研究をしている大学院生(女性)がウニを手の平に乗せて「可愛いでしょ~。」と言っていた時はちょっと笑えました。可愛いか可愛くないかと聞かれたら、彼女には申し訳ないけど正直可愛くはないです。日本人の私には、ウニは「可愛い」ものではなく、やはり寿司ネタにしか思えないのでした。...