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インドハッカ(カバイロハッカ)

インドハッカ(カバイロハッカ)は、ハワイで都市部に生活していると最もよく目にする鳥のひとつです。識別も容易なため、ハワイでは多くの人に知られている鳥でもあります。アフガニスタン、中央アジア、インド、ミャンマー、中国南西部に分布する鳥で、ハワイには1865年に、害虫駆除のためにインドから移入されました。現在では主要6島の標高1,500m以下の場所に広く生息しています。近年はミッドウェイ島でも見られます。 全長約23cm。雌雄同色。成鳥の頭は黒色、首から下は茶色です。目の回りに黄色い皮膚が裸出しています。尾は短く先端が白色です。嘴と足は黄色です。初列風切に白い部分があり、飛翔時に目立ちます。 ペアや小さな群れで行動し、それらが集まって騒がしい群れを作ります。ねぐらとなる木に数百羽がグループとして集まることもあり、騒音が問題にあることもあるそうです。雑食性で、果実、虫、小型のトカゲ、屍肉、人間が食べ残したものなどを食べます。ハワイ語名のManu-‘ai-pilauは、「腐ったものを食べる鳥」という意味です。もう一つのハワイ語名Piha’ekeloは、直訳すると「いっぱいのエケロ」となります。エケロとは、インドハッカの鳴き声のことだそうです。 日本語名:インドハッカ(カバイロハッカ) ハワイ語名:Manu-‘ai-pilau、Piha’ekelo 英語名:Common Myna 学名:Acridotheres tristis 分類:ムクドリ科(Sturnidae) その他:外来種(alien)...

ペンギンの話

すみだ水族館の目玉の一つはペンギンの水槽で、私達が6月に訪れた時はちょうどペンギンの赤ちゃんが特別に展示されていました。残念ながら、私達は見る事ができなかったのですが・・・。サンシャイン水族館にもペンギンがいますし、ペンギンを展示している水族館は結構あります。そこで今回は、このペンギンのお話をさせて頂きたいと思います。 ペンギンの仲間は世界で17種存在します。一番小さい種はコガタペンギン(フェアリーペンギン)で体長40cmほど、一番大きい種はアカデミー賞を受賞した映画でも有名なコウテイペンギンで、体長は130cmになることもあります。ペンギンと他の鳥との一番の違いはやはり飛べないこと。翼に当たるものが海の中で泳ぐためにヒレ状になっています。海の中ではこのヒレ状の翼を羽ばたかせるようにして泳ぎます。もう一つ、他の鳥達との大きな違いは、ペンギンは体を直立させているということです。飛べない鳥は他にもいますが、体が立った状態なのはペンギンだけです。 何年も前に取っていた授業で、ペンギンは南半球にしかいないと習いました(実際はガラパゴス諸島に生息するガラパゴスペンギンが、赤道を超えてわずかに北半球の端にも分布しています)。その授業の期末テストで、シロクマはペンギンを餌にする、○か×か?という問題が出ました。シロクマの餌の話は授業であまり触れられなかったので一瞬頭が?となりましたが、シロクマは北極圏にしか存在しないこと、逆にペンギンは南半球にしかいない事を思い出しました。そう、シロクマとペンギンが一緒にいるのは、お話の中だけなのです。...

メキシコマシコ

メキシコマシコは、ハワイで多く見られる鳥の一つです。ハワイには1869年に北アメリカから移入されました。主要6島の海岸近くから高山性の森林にいたるまで広く生息します。民家の庭、公園、農地などの開発された土地にもっとも多く、林や山中でも見られます。在来植物の森にも生息していて、例えばマウナ・ケア(ハワイ島)のマーマネとナイオの森にも多数見られます。 全長約14cm。雌雄異色。雄は上面が茶色、腹が灰色がかった茶色で、額から胸が赤みを帯びています。ハワイのメキシコマシコの雄にはオレンジ色や黄色の個体もいます。雌には赤みがありません。雌雄ともに濃い縞模様があります。嘴は灰色、足は濃い灰色です。雌はイエスズメに似ていますが、メキシコマシコの下面には縞模様があるので見分けられます。 草の種子、果実、虫などを食べます。餌台にもたくさん集まります。熟れたパパイヤの実を好んで食べるため、パパイヤバード(Papayabird)とも呼ばれます。ハワイ語名のマヌアイミーカナ(Manu-‘ai-mikana)は、「パパイヤを食べる鳥」という意味です。ハワイではLinnetと呼ばれることもありますが、実際にはメキシコマシコとLinnet(Carduelis cannabina)は別種です。繁殖期は2月から8月です。 日本語名:メキシコマシコ ハワイ語名:Manu-‘ai-mikana 英語名:House Finch 学名:Acridotheres tristis 分類:アトリ科(Fringillidae) その他:外来種(alien)  ...

アシカとアザラシ

池袋サンシャイン水族館では、屋外にリング状の水槽が中空に据えられていて、アシカが泳ぐ姿を下から見る事ができます。前回私達が訪れた時にはやっていませんでしたが、アシカのショーも行われているようです。アシカは各地の水族館のショーで大活躍ですね。一方、アシカと似た動物にアザラシがいますが、アザラシのショーというのは見かけません。そこで今回は、アシカとアザラシの違いについてお話ししたいと思います。 まず一番大きな違いは何かといいますと、アシカやアシカに似たオットセイは後ろのヒレを体の前の方に向けて体の下に入れることができることではないでしょうか。これができることで、アシカは前のヒレで上体を支えて地上を“歩く”ことができるのです。これに対し、アザラシは後ろのヒレを前に向けることができないので、陸上を動く時は這うことしかできません。これが、水族館にアシカのショーはあってもアザラシのショーはない理由なのです。アザラシの赤ちゃんが雪の上でゴロゴロしているのも、アシカのように歩けないからなんですね。 さらに、アシカの頭部をよく見ると、耳(耳たぶ)があるのが分かりますが、アザラシには目立った耳たぶが頭の外側に出ていません。これが2つ目の大きな違いです。次回水族館に行かれた際は、アシカやアザラシの後ろのヒレと耳たぶに注目してみて下さいね。...

コアエ・ウラ(アカオネッタイチョウ)

コアエ・ウラは、長く伸びた赤い尾羽が印象的な海鳥です。ハワイの主要な島々のウインド・ワード(貿易風の風上)側の海岸などで見られます。日本でも硫黄島と南鳥島で繁殖します。赤い尾羽と嘴と白い体が、海の青色によく映える美しい鳥です。 全長約91~107cm(尾羽を含む)。翼開長約112m。体は白色で、目の前後は黒色。中央尾羽2枚は長い赤色ですが、遠くからはなかなか確認できません。嘴は生まれたときは黒色で、成長するにしたがって黄色になり、さらに赤色になります。足は淡い色で、足指は黒色。幼鳥は上面に濃い黒色の横斑があります。「ガァー」と大きく叫ぶように鳴きます。 海上を軽快に飛び、魚やイカを捕るために海中にダイブします。かなり高い位置からまっさかさまに飛び込み、3mほど潜ることができます。足が後ろの方にあるため、陸上では不器用で、なかなかうまく立ったり歩いたりできません。繁殖期は3月から10月で、その期間の成鳥は、お互いに繰り返し円を描くようにぐるぐると周る求愛飛翔が見られます。ハワイ語名のコアエは、ネッタイチョウを一般的に指します。ウラは赤色という意味です。尾羽が白いシラオネッタイチョウは、コアエ・ケアといいます。ケアは白色という意味です。 日本語名:アカオネッタイチョウ(赤尾熱帯鳥) ハワイ語名:Koa’e ‘ula 英語名:Red-tailed Tropicbird 学名:Phaethon rubricauda 分類:ネッタイチョウ科(Phaethontidae) ハワイ在来種(indigenous)...

ツノダシの話

前回はディズニー映画、ファインディング・ニモの主要な登場キャラクター、ドリー(ナンヨウハギ)のお話をさせて頂きました。ファインディング・ニモにはそれこそたくさんの海の生き物が登場しますが、ニモが捕まえられた歯医者さんの水槽にも個性的なキャラの生き物が色々いましたよね。今回はその中でもボス的な存在のギルのお話をさせて頂きたいと思います。 ギルは日本名でツノダシ、英語ではMoorish Idol、ハワイ語ではkihikihiと呼ばれる魚です。ツノダシ科ツノダシ属に属する唯一の種で、熱帯のサンゴ礁に生息しています。これぞ熱帯魚、という姿形から非常に人気の高い魚です。ハワイでもスノーケル中に比較的頻繁に見る事ができます。黒くて太い2本の縞模様とオレンジ色の上あご、長くたなびく背びれが特徴です。見た目が非常に似ている魚にハタタデダイやムレハタタテダイがありますが、ツノダシは尾ひれが黒、ハタタテダイは黄色というので見分ける事ができます。 このツノダシ、人気なのですが飼育するのが非常に難しい魚と言われています。ファインディング・ニモを観る度に、ギルを長年水槽で飼っていた歯医者さんは熱帯魚の飼育のプロに違いない、と思ってしまうのです。...

ウーリリ(メリケンキアシシギ)

ウーリリは、ハワイでよく見られる渡り鳥の一つです。8月までに繁殖地であるアラスカやカナダからハワイに渡ってきて越冬し、4月下旬から5月上旬に再び繁殖地へ渡ります。ハワイで夏を越す個体もいます。ハワイでは砂浜、沼地、岩の多い海岸や河川などで見られます。コーレア(ムナグロ)と違って、草地で見られることはあまりありません。 全長約28cm。冬羽は上面が濃い灰色で下面が淡い灰色。夏羽は下面に縞模様があります。濃い過眼線と明るい眉班があり、嘴は細くて長い黒色、足は黄色です。飛翔時に翼や尾に模様はありません。一羽でいることが多い鳥ですが、たまにペアか小さい群れでいることもあります。長い嘴で泥の中や岩の下を活発に探り、軟体動物や無脊椎動物を捕ります。澄んだ声で「トゥーリッリッリッ」と繰り返して鳴きます。ハワイ語名はこの鳴き声が由来のようです。 ハワイアンのスタンダード・ナンバーに『ウリリ・エ(’Ulili E)』という曲があります。この軽快な曲は、穏やかなビーチを走るウーリリとその美しい鳴き声を歌ったものです。没後も高い人気があるイズラエル・カマカヴィヴォオレ(Israel Kamakawiwo’ole、通称「IZ」)も歌っているので、聴いたことがある人も多いと思います。また、ウーリリと呼ばれる、竹で作られた古代ハワイの笛がありますが、この笛の名も本種の鳴き声に由来しているといわれています。 日本語名:メリケンキアシシギ ハワイ語名:’Ulili 英語名:Wandering Tattler 学名:Tringa incana 分類:シギ科(Scolopacidae) その他:渡り鳥(visitor)  ...

ナンヨウハギの話

エプソン品川アクアスタジアムのナンヨウハギ ちょっと前にカクレクマノミのお話をさせて頂きましたが、カクレクマノミといえばやっぱりニモ。映画「ファインディング・ニモ」には色々な海の生き物が登場しますが、その中でもニモのお父さんと一緒にニモを探す青い魚、ドリーといえば、皆さんすぐにどの魚か思いつくのではないでしょうか?ワイキキ水族館でも、カクレクマノミを「ニモ」と呼んでいる子供達は大抵、この青い魚を見ると「ドリー」と呼んでいます。そこで今回は、この「ドリー」のお話です。 青・黒・黄のきれいな体色 ドリーは日本名でナンヨウハギと呼ばれる魚で、スズキ目ニザダイ科に属しています。サンゴ礁の海に生息していて、体長は成魚で大体20cmくらいです。日本でも暖かい南の海で見られるようです。食べ物は主に動物プランクトンです。特徴はやはりその体の色でしょう。体の大部分はきれいな青色をしていて、体側に黒い線が入っています。尾ひれは黒い縁取りの中が黄色い三角になっていて、熱帯魚らしいきれいな配色です。そのため観賞魚として人気が高く、多くの水族館のサンゴ礁の海の水槽で見る事ができます。 サンシャイン国際水族館のナンヨウハギ 私は水族館に行くとたくさん写真を撮るのですが、このナンヨウハギ、動きが速いのでなかなか上手くカメラに納まってくれません。フムフムヌクヌクアプアアとともに、上手く写真が撮れると非常に嬉しい魚です。...

フナカイ(ミユビシギ)

フナカイは、ハワイでよく見られる渡り鳥の一つです。8月までに北極圏からハワイに渡ってきて越冬し、4月に再び繁殖地である北極圏へ渡ります。日本にも旅鳥として渡ってきます。湿地や砂浜で一羽、もしくは小さな群れでいることが多く、コーレア(ムナグロ)やアケケケ(キョウジョシギ)などの他の渡り鳥たちと一緒にいるのも珍しくありません。大雨の後には浸水した牧草地でも見られることがあります。   全長約20cm。雌雄同色。冬羽の上面は明るい灰色、下面は白。夏羽は頭、胸、背が赤みを帯びた茶色になります。嘴は細くて黒色。足も黒色。ミユビシギという日本語名の通り、趾(あしゆび)は3本です。遠くから見るとほぼ真っ白な鳥に見えます。「クイーッ」と鋭く鳴きます。 砂地や浅い水辺で、砂に隠れている無脊椎動物を活発に捕ります。特に波が引くときに獲物を探す習性があり、波打ち際を行ったり来たりしている姿が見られます。ハワイ語名のフナカイは、「海の泡」という意味ですが、この白い鳥が波に合わせて動き続ける姿からつけられた名前に違いありません。 日本語名:ミユビシギ(三趾鷸) ハワイ語名:Hunakai 英語名:Sanderling 学名:Calidris alba 分類:シギ科(Scolopacidae) 渡り鳥(visitor)    ...

マンボウの話

前々回、前回と、この夏日本の水族館で出会った大型の魚のお話をさせて頂きましたが、池袋サンシャイン国際水族館ではもう一種、私の大好きな大きな魚に出会う事ができました。それはマンボウ。今回は、このマンボウのお話をさせて頂きます。 マンボウはフグ目マンボウ科に属する魚です。英語名はSunfish、科学名はMola molaといい、テストの時に非常に覚えやすかったです。皆さんご存知の通り、体は縦に平たく丸型で、大きくなると体長は3m、体重は2トン以上にもなります。体の上下に突き出ているのは背びれと尻びれで、体の後ろにあるのは実は尾びれではなく、「舵びれ」と呼ばれる背びれと尻びれが変形したものです。舵びれはその名の通り、泳ぐ時に舵を取っています。尾びれの他に腹びれもなく、面白い形態の魚です。かわいい(?)おちょぼ口は、フグの仲間ならでは。 マンボウはよく海面近くを漂っている姿が見られるので、のんびり海流に身を任せて生きていると思われがちですが、実は結構深海まで潜ったりします。また、マンボウは泳ぎがあまり上手ではなく水槽にぶつかって弱ってしまうため、水族館での飼育は一般的に難しいと言われています。水族館のマンボウの水槽にビニールの膜などが張られているのはそのためです。水族館でマンボウに出会えるのは、私にとってとても嬉しい事なのです。...