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コアエ・ケア(シラオネッタイチョウ)

コアエ・ケア(シラオネッタイチョウ)は、長く伸びた白い尾羽を持つ美しい海鳥です。ハワイ語名のコアエ(koa’e)は、ネッタイチョウの総称で、ケア(kea)は白という意味です。同じくハワイに生息するネッタイチョウで、尾羽が赤いアカオネッタイチョウは、ハワイ語でコアエ・ウラ(Koa’e ‘ula)といいます。ウラは赤という意味です。   熱帯、亜熱帯の島に広く分布します。ハワイでは主要6島すべてに生息し、ウィンドワード(貿易風の風上側)の岸壁や内陸の渓谷などで見られます。カウアイ島のワイメア渓谷やハワイ島のキラウエア・カルデラなど、海鳥の生息地とは思えないほど海から離れた場所を飛んでいる姿も見られます。全長76cm。体は白色で、目の前後、翼の上面、背中に黒班があります。   海中にダイブして魚やイカを捕ります。繁殖期は3月~10月。海岸から内陸にかけての断崖の割れ目や穴に営巣するため、ハワイの海鳥の減少の一因となっている天敵のネズミ、ネコ、マングースなどは近づきにくいようです。人もなかなか巣に近づくことができないので、ハワイの本種の繁殖の生態については詳しくわかっていません。 日本語名:シラオネッタイチョウ(白尾熱帯鳥) ハワイ語名:Koa’e kea 英語名:White-tailed Tropicbird 学名:Phaethon lepturus dorotheae 分類:ネッタイチョウ科(Phaethontidae) その他:ハワイ在来種(indigenous)  ...

ペリカンの話

先日、長女のクラスメートの家族に誘われて、久しぶりにホノルル動物園に行ってきました。 その時に大きなペリカンがいるのを発見しました。ペリカンと言えば、私も好きで何度もこちらでも触れているディズニー映画、ファインディング・ニモにも出てきます。そこで今回は、このペリカンのお話をさせて頂きたいと思います。             ペリカンは全世界で7種で、全てが鳥網ペリカン目ペリカン属ペリカン科に属しています。南北アメリカ、アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、スリランカなど比較的広範囲に分布しています。ちなみにホノルル動物園にいたのはアメリカシロペリカン、ファインディング・ニモに出てくるナイジェルという、ニモ達に外界の情報を教えてくれるペリカンはコシグロペリカン(別名オーストラリアペリカン)です(ニモを捕まえたのはシドニーの歯医者さんでしたね)。   ペリカンと言えば、やっぱりあの大きな嘴(くちばし)ですよね。皆さんもご存知の通り、下の嘴から喉にかけて皮膚が袋のように大きく伸びるのですが、あの袋は咽喉嚢と呼ばれています。この袋に水ごと餌となる魚を捕え、水だけ吐き出して魚を食べます。私はまだ実際にペリカンの袋が膨らんでいるのを見た事が無いので、一度見てみたいなと思います。一体どのくらいの魚を溜めておく事ができるのでしょうね。...

イヴァ(オオグンカンドリ)

イヴァは、翼を広げた長さが2m以上もある大型の海鳥です。太平洋の熱帯地域に広く分布します。ハワイの主要な島々で繁殖はしませんが、多くが飛来します。特にカウアイ島とオアフ島で多く見られ、空高く滑空している姿をホノルル市内でも頻繁に見ることができます。長い翼を広げて上昇気流を使い、数時間滑空できます。海鳥の中でも最高の上空150mくらいまで達することができますが、その凄まじい飛行能力とは裏腹に、地上で立ったり歩いたりはできません。 全長73cm、翼開長229cm。雄より雌の方が大型です。体は黒色。角度のついた翼と深く切れ込んだ二股の尾(燕尾)が大きな特徴です。雄は喉の赤い皮膚が裸出していて、婚姻期にはそれを風船のように膨らませ雌を誘います。雌は胸が白色です。未成鳥は頭、喉、胸が赤褐色もしくは白色です。 カツオドリ、ミズナギドリ、アジサシ、ネッタイチョウなどの他の鳥が捕まえた魚やイカを横取りすることで知られています。この行動が昔のハワイ人からみても印象的だったようで、ハワイ語名のイヴァ(’Iwa)は、泥棒という意味です。 日本語名:オオグンカンドリ(大軍艦鳥) ハワイ語名:’Iwa 英語名:Great Frigatebird 学名:Fregata minor palmerstoni 分類:グンカンドリ科(Fregatidae) その他:ハワイ在来種(indigenous) ——————————————————————— 「画像1」イヴァ(オオグンカンドリ)雄 「画像2」イヴァ(オオグンカンドリ)雌 「画像3」イヴァ(オオグンカンドリ)未成鳥...

ヒラメとカレイ

夏休みに日本に帰った時、とある日の夕飯に母が子持ち鰈の煮付けを作ってくれました。ハワイではあまり食べるチャンスがありませんが、そういえば子供の頃はよく食べていたっけ、ととても懐かしくなりました。ところで、私は白身のお魚のお寿司が好きで、ヒラメの握りも子供の頃から大好物です。ヒラメとカレイって似ていますが、違いはご存知でしょうか?ということで、今回はヒラメとカレイのお話をさせて頂きたいと思います。 ヒラメはカレイ目カレイ亜目ヒラメ科に属し、カレイはカレイ目カレイ科に属します。ですからどちらもカレイ目の魚で、ご想像通りそう遠くはない仲間なのです。では何が違うのかというと、御存じの方も多いかもしれませんが、一般的に頭の左側に両目があるのがヒラメ、右側にあるのがカレイなのです。面白いのは、ヒラメもカレイも稚魚の時はちゃんと目が頭の両側についていて、体も平べったくないのに、成長と共に目が片側に寄って行って、体も平たくなることです。 ヒラメとカレイのその他の違いは、ヒラメの方が口が大きい、ヒラメの寿命が長くて数年と短いのに対しカレイは長くて数十年生きるものもある、などなど。しかし私の勝手な区別はやっぱり食べ物に関するもので、ヒラメは刺身や寿司など生で食べるもの(舌平目のムニエルなんてのもありますが…)、カレイは煮付けや唐揚げなど火を通して食べるもの、ですね。...

アーカラ

ハワイでキイチゴ属(Rubus)の植物は7種確認されていて、そのうちの2つがハワイ固有種、5つが外来種です。ここでは古来からハワイ人にアーカラ(「ピンク色」という意味)と呼ばれている固有種2種のうち、より一般的に見られるR. hawaiensisを紹介します。 R. hawaiensisは、カウアイ島、モロカイ島、マウイ島、ハワイ島の湿潤な森や亜高山帯の森に自生する、ハワイ原産のラズベリーです。高さ4.5mくらいまで成長し、長さ約4mmの細い刺があります(刺がないものも多くみられます)。葉は3枚の小葉からなり、鋸歯があります。春にピンク色の花が咲きます。花の蜜を目当てに、イイヴィやアマキヒなどのハワイミツスイ類がやってきます。 果実は直径約2.5~5cmで、赤色もしくは紫色、まれに黄色のものもあります。昔のハワイ人は、アーカラの実を見つければ食べていたようですが、生育地が人々の生活範囲から離れていることが多いため、一般的な食用とされてはいなかったようです。今日では果実を加工してパイやジャムが作られます。 日本語名:― ハワイ語名:’akala 英語名:― 学名:Rubus hawaiensis 分類:バラ科(Rosaceae)キイチゴ属(Rubus) その他:ハワイ固有種(endemic)  ...

カウイラの伝説

私も昔からお世話になっているハワイのウミガメ研究家の方の名刺には、女の子の絵が描かれています。なぜウミガメ研究家なのに女の子なのかというと、この子がハワイの伝説に出てくる「カウイラ」というウミガメの化身だからです。そこで今回は、ハワイ島プナルウ(ブラックサンドビーチのあるところ)に住むと言われているこの「カウイラ」の伝説についてお話をさせて頂きたいと思います。 先ほども言いましたが、カウイラは人間の女の子の姿に変身できる力を持った、不思議なウミガメです。昼間は女の子の姿になって人間の子供達と一緒に遊び、子供達が安全でいられるよう見守っています。眠たくなるとカメの姿に戻り、カウイラの両親が黒砂を掘って作ってくれた真水の泉で眠ります。カウイラの泉は、プナルウ地区の人々に飲み水を提供したと言われています。人々はその昔、真水の湧き出る泉の底に潜り、ひょうたんの中に飲み水を汲んできたということです。 子供達を守り、飲み水を提供してくれるカウイラは、プナルウの人々にとても愛されています。以前訪れたブラックサンドビーチでは、海で遊ぶ子供達とともにたくさんのウミガメが泳いでいたり、日光浴をしたりしていました。その光景を見ていて、きっとカウイラのお陰で、子供達も安心して海で遊ぶ事ができるのだろうと思いました。...

シャワーツリー(その3)

シャワーツリー(その2)のつづきです。レインボーシャワーは、ゴールデンシャワーとピンクアンドホワイトシャワーを交配させた、ハワイ生まれのハイブリッド種です。商業地帯や住宅地に多く植えられているたいへんポピュラーな木です。私の周りにもレインボーシャワーがハワイで一番好きな木(花)だという人が多くいます。シャワーツリーといえば、地元の人の多くはこのレインボーシャワーを思い浮かべることでしょう。 高さは約10m。花は4月頃から咲き始め、7~8月にピークを迎え、11月頃まで咲き続けます。葉は複葉で、6~10組の深緑色で卵形の小葉からなります。 一口にレインボーシャワーといっても、Wilhelmina Tenney、Queen’s Hospital White、Madge Tennet、Lunalilo Yellowなどの品種があり、花の色はピンク色、クリーム色、赤色、淡い黄色、濃い黄色など、じつに多彩です。なかでも特に有名なのがWilhelmina Tenneyという品種です。花の色はとても複雑で、様々なトーンの白色、黄色、ピンク色、オレンジ色、赤色などのコンビネーションからなります。Wilhelmina Tenneyは、1965年より『ホノルル市の木』に指定されています。 おわり 学名:Cassia spp. 分類:マメ科(Fabaceae)ナンバンサイカチ属(Cassia) その他:外来種(alien) 「画像1」レインボーシャワー(Queen’s Hospital White) 「画像2」レインボーシャワー(Lunalilo Yellow) 「画像3」レインボーシャワー(Wilhelmina Tenney)...

ヒラメとカレイ

夏休みに日本に帰った時、とある日の夕飯に母が子持ち鰈の煮付けを作ってくれました。ハワイではあまり食べるチャンスがありませんが、そういえば子供の頃はよく食べていたっけ、ととても懐かしくなりました。ところで、私は白身のお魚のお寿司が好きで、ヒラメの握りも子供の頃から大好物です。ヒラメとカレイって似ていますが、違いはご存知でしょうか?ということで、今回はヒラメとカレイのお話をさせて頂きたいと思います。 ヒラメはカレイ目カレイ亜目ヒラメ科に属し、カレイはカレイ目カレイ科に属します。ですからどちらもカレイ目の魚で、ご想像通りそう遠くはない仲間なのです。では何が違うのかというと、御存じの方も多いかもしれませんが、一般的に頭の左側に両目があるのがヒラメ、右側にあるのがカレイなのです。面白いのは、ヒラメもカレイも稚魚の時はちゃんと目が頭の両側についていて、体も平べったくないのに、成長と共に目が片側に寄って行って、体も平たくなることです。 ヒラメとカレイのその他の違いは、ヒラメの方が口が大きい、ヒラメの寿命が長くて数年と短いのに対しカレイは長くて数十年生きるものもある、などなど。しかし私の勝手な区別はやっぱり食べ物に関するもので、ヒラメは刺身や寿司など生で食べるもの(舌平目のムニエルなんてのもありますが…)、カレイは煮付けや唐揚げなど火を通して食べるもの、ですね。...

シャワーツリー(その2)

シャワーツリー(その1)のつづきです。ピンクアンドホワイトシャワーは、ジャワ島とスマトラ島が原産のシャワーツリーです。1870年以前にハワイに移入されたと考えられており、道路沿いや公園に広く植えられています。高さ25mくらいまで成長します。葉は複葉で、約12組の小葉からなります。小葉はレインボーシャワーの小葉よりも小さい卵形で、長さは約5cm。花は、英語名が示す通り、ピンク色と白色。もしピンク色に黄色味が交じっていたら、それはおそらくレインボーシャワーでしょう。   ピンクアンドホワイトシャワーの花は3月頃から咲き始めます(レインボーシャワーの本格的な開花は6月頃からです)。花が咲いている本種の姿はとてもゴージャスで、まるで枝が巨大なレイをつけているように見えます。秋には長さ30~40cmの細長いさやがぶら下がります。     ピンクシャワーは、熱帯アメリカ原産のシャワーツリーです。ホースシャワー(horse shower)やコーラルシャワー(coral shower)とも呼ばれます。葉は複葉で、約16組の細長い楕円形の小葉からなります。3月~4月にピンク色の花が咲きます。花の色はピンクアンドホワイトシャワーよりも濃いピンク色です。ハワイでは種子がレイの材料に使われます。 その3へつづく  ...

キイロハギの話

子供の絵本を見ていたら、黄色い熱帯魚が出てきました。ハワイではお馴染みのこの黄色い魚は、もちろんワイキキ水族館にもよく展示されています。また、映画「ファインディング・ニモ」にもニモが捕えられた歯医者さんの水槽の仲間(役名:バブルス)として登場しています。今までにも「ファインディング・ニモ」にでてくる魚について何度かお話しさせて頂いた事がありましたが、今回はこの黄色い熱帯魚、キイロハギについてお話しさせて頂きます。   キイロハギはスズキ目ニザダイ科に属する魚で、ハワイを含む太平洋、インド洋、日本にも生息しています。成長すると体長は20㎝ほどになります。野生のキイロハギは小さな海藻類を主食としていますが、ウミガメの甲羅に生えた海藻を掃除する姿もよく見られます。また、八景島シーパラダイスではキイロハギにレタスを与えているそうです。       キイロハギはその名の通り、全身が鮮やかな黄色をしています(英語名はYellow tang)。色がきれいな魚なので、日本の水族館などでもよく見られますし、飼育用としても人気があります。ちなみに、全世界の飼育用のキイロハギの70%は、ハワイで捕獲されたものと言われています。よく見るお馴染みの魚とはいえ、そんなに捕られて大丈夫かな、とちょっと心配になりました。  ...