ワイキキ水族館に、とても綺麗な配色をしたベラがいます。複雑な模様なので言葉で表現するのは難しいですが、ピンクっぽい頭には緑の横筋が入り、腹部はブルー、体側は三日月型をした赤と緑の点が交互に並び、尾ひれは赤に緑の斑点。今日はこの、水槽でとても目を引くオーナメンティッド・ラスと呼ばれる魚の話をさせて頂きます。
オーナメンティッド・ラスはスズキ目ベラ科に属する魚で、オーネート・ラス(wrass=ラスはベラ類の魚のこと)とも呼ばれます。オーナメント(ornament)は装飾のこと、オーネート(ornate)は彫刻を施したような、といった意味なので、いずれもその綺麗な体色から名付けられたものと思われます。ハワイ語ではオフア(’ohua)と呼ばれています。日本に生息するツキベラに近い魚で、体の模様もよく似ています。オーナメンティッド・ラスは最後賞に生息する無脊椎動物を主食としますが、餌を取るために口の中には犬歯が隠されています。
ベラの仲間は性転換をすることがよく知られています。一般的に小さめで模様がそんなにはっきりしていない個体はメスで、成長して体が大きくなるとオスになり、体の模様もよりはっきりとカラフルになっていきます。ワイキキ水族館のオーナメンティッド・ラスも、写真のように綺麗な模様の魚はオスだと思われます。