我が家の6歳になる長女は最近海苔が大好物。彼女の学校では休み時間に食べるおやつを持参する事になっているのですが、味付け海苔を持って行く事もしばしば。海苔は紅藻類の海藻をシート状の板海苔と呼ばれるものに加工したものです。今回は、日本人にとって最も馴染みのある海藻の一つ、海苔のお話をさせて頂きたいと思います。
海苔の原料となる海藻はウシケノリ科アマノリ属(科学名Porphyra)に属しています。Porphyraの仲間はハワイにも一種類存在し、ハワイアンも食用として採取していました。しかしオアフ島ではあまり見かけられず、見られる季節も限られているので、私がまだ学部生で海藻のクラスを取っていた時にこの海藻を見つけた時は、助手の大学院生に「僕も見た事ないのにスゴイね。」と褒められました。
昭和20年代前半まで、海苔の養殖は網などを海中に張り、そこに自然に胞子が付着して海藻が育つのを待つだけでした。しかしイギリスのDr. Kathleen Drew Baker が、海苔の胞子が春から秋まで、貝殻の中に潜り込んで 過ごす事を発見しました。この貝殻の中で生息している状態は糸状体と呼ばれ、海苔とは全く異なる姿形なのです。Dr. Drew Bakerの発見から日本の海苔の養殖は一気に発展しました。現在は人工採苗と言う、糸状体を貝殻の中で人工的に育て、糸状体からできる胞子を網に付着させて海苔を育てる養殖法になっています。海苔の養殖漁場として有名な有明海沿岸の宇土市には、Dr. Drew Bakerの功績を讃える碑が立っていて、毎年4月14日には「ドゥルー祭」が開催されます。