ワイキキ水族館に行くといくつかの水槽で、平たい楕円形で細かいヒダのある、緑や紫、茶色をした石のような物体を見かけます。実はこれは歴とした生き物で、英語ではマッシュルームコーラル(科学名のFungiaも、英語でキノコを含む菌類を表すfungiに由来すると思われます)、日本語ではクサビライシと呼ばれています。今回は、このマッスルームコーラルのお話をさせて頂きたいと思います。
マッシュルームコーラルは、“コーラル”と付く通りサンゴの仲間で、刺胞動物門花虫綱六放サンゴ亜綱イシサンゴ目クサビライシ科に属しています。放射状の細かいヒダが、キノコのかさの裏側に似ていることから名が付いたようです。ちなみに、日本語の「クサビラ」もキノコの意味です。大きいものでは25cmほどに成長しますが、他のサンゴに比べるとやや成長が遅いそうです。基本的にサンゴは成長が遅いのですから、25cmになるのにはどのくらいかかるのでしょう?体の色は、以前サンゴのところでもお話ししたように、共生している褐虫藻によるものです。
マッシュルームコーラルが他のサンゴと違うのは、岩などに固着せずに、単体で自由生活をしているところです。若いうちは岩に付着しているのですが、成長すると岩から遊離して単体生活を始めるのです。水族館でも、砂の上に無造作にポン、と置かれている感じで、とても面白いサンゴです。