最近、長女は学校で海の生き物の勉強をしているらしく、私に色々とウミガメの話を聞いてきました。その中で話題に上がったのがアオウミガメの腫瘍の事。ハワイでも腫瘍を発症しているアオウミガメがよく見られます。そこで今回は、このウミガメの腫瘍のお話をさせて頂きます。
この腫瘍は「フィブロパピロマ」(fibropapilloma)と呼ばれるもので、1930年代頃から見られるようになったといわれています。1980年代になって、ハワイとフロリダで腫瘍を発症したアオウミガメの数が劇的に増加しました。腫瘍は目や口、首やヒレの付け根、内臓に多く見られ、大きくなるとカリフラワーのような形になります。腫瘍が大きくなると、目が見えなくなったり、摂食が出来なくなったり、内臓が正常に働かなくなったりして死んでしまいます。腫瘍の発生にはヘルペスウィルスが関係していると思われますが、ヘルペスウィルスはどこにでもいるウィルスであり、これが何故1980年代以降に爆発的に増えたのかは未だにはっきりとわかっていません。腫瘍を発症したウミガメに対しても効果的な治療方法はなく、体の外側に出来た腫瘍の切除に留まっています。
腫瘍の増加の原因の一つはウミガメの住む海域の水質汚染と考えられていますが、これも今のところ直接的な証拠は見つかっていません。水質汚染が直接腫瘍を発症させるわけではなく、汚染と共に色々な要素が複合的に働いて発症するのではないかと思われます。最近では日本でも腫瘍を発症したアオウミガメが多数見られるようになったということで、ますます早急な原因究明が待たれます。