マウナルア湾で採取したアオサ

日本の海でもハワイの海でも、岩場の波打ち際でよく見る緑色の薄いシート状の海藻があります。
これは緑藻類の一種のアオサと呼ばれる海藻で、世界各地で一般的に見られるものです。
先日、教えている授業でこのアオサを取り扱ったので、今回のお話のテーマはアオサにしたいと思います。
 
アオサはアオサ目アオサ科に属し、学術名はUlva、英語ではSea lettuce(海のレタス)とも呼ばれます。
緑色のセロハンのような薄い断面は、顕微鏡で見ると細胞がきれいに2層に並んでいます。
ハワイ語ではLimu Pālapalaha(リム・パラパラハ)と呼ばれ、ハワイの人々も昔から食用として活用してきました。
ちなみに、現在日本で食用とされているアオサやアオノリは今回のお話の主人公Ulvaのアオサではなく、ヒビミドロ科ヒトエグサ目のヒトエグサと呼ばれる海藻です。
この海藻の面白いのは、胞子や配偶子が放出されるタイミングが月の満ち欠けと連動しているところ。
何とも不思議ですよね。
 
アオサは成長が非常に速く、海水が富栄養化した地域では時に大増殖して緑潮と呼ばれる状態になることもあります。
ここハワイでも、特にマウイ島の人口の多い地域で度々大量発生し、問題となっています。
その原因はマウイ島の排水処理のやり方に問題があるからだといわれていますが、それに反対する意見もあり、簡単には解決しそうにありません。


東京生まれ、東京育ち。幼少の頃、家族で夏を海辺で過ごすことが多かったおかげで海の生き物に興味を持つ。当時の愛読書は学研の海の生き物図鑑。遊園地よりも水族館が好きだった(現在も)。日本で某理系大学卒業後しばらく社会人生活を送っていたが、観光で訪れたミッドウェイ環礁で出会った研究者達に触発され、復学を決意。海洋生物学を学ぶためハワイ大学に編入。卒業後大学院に進学し、結婚・出産後も子育てしながら学生生活を満喫中。専門は海藻、特にハワイのアオウミガメの食べる海藻について研究中。プランクトンからクジラまで、大好きな海の生き物たちの話を皆様とシェアできたらと思っております。