ハワイからのコンテンツ: 全コンテンツ

パリラ

パリラは、ハワイ島に生息するハワイミツスイです。パリラの生息地は、ハワイ島の中でもマウナ・ケアの南西から北側のスロープの、標高2,000~2,750mのマーマネとナイオの森に限られています。パリラが生きるために必要不可欠であるマーマネの森の減少とともにパリラの生息数も年々減り続けていて、絶滅の危機に瀕しています。 全長約19cm。頭と胸は黄色、背中は灰色、下面は白色です。太くて短い嘴を持ちます。雌雄異色。雌は雄と比べてやや体色がくすんでいて胸と首の黄色が薄いのが特徴です。雄の目先は黒いのに対して、雌の目先は灰色です。地鳴きは2~3音のスラーで、パリラという名前はこの鳴き声からつけられたようです。さえずりは複雑かつメロディアスで、朝と夕方によく聞かれます。 主にマーマネの若い種子を食べます。マーマネのまだ緑色の若いさやを引きちぎって近くの木の枝に運び、それを足下でおさえつけて、嘴でさやを引き裂いて中の種子を取り出して食べます。この作業はときに数分かけて行います。マーマネの種子が第一の主要な食物ですが、他に虫、ナイオの実、マーマネの花や若葉なども食べます。 日本語名:― ハワイ語名:Palila 学名:Loxioides bailleui 分類:アトリ科(Fringillidae)ハワイミツスイ亜科(Drepanidinae) その他:ハワイ島固有種(endemic)、絶滅危惧種(endangered)...

ウツボの話

先日ダイヤモンドヘッドの下の方の岩場で海藻を採取していると、穴からニョロニョロッとウツボが出てきました。夏を海で過ごす事が多かった幼少時代、親にウツボに気を付けろと言われたり、素潜り名人からウツボに噛まれた時の武勇伝(?)を聞かされたりして、私の中ではすっかりウツボは怖い魚というイメージが染み付いていました。でもハワイのローカルの人は海でウツボを見つけると結構喜んでいます。そこで今回はウツボのお話です。 ウツボはウナギ目ウツボ亜目ウツボ科に属する魚で、ウナギ同様見た目通りの細長い体が特徴です。魚類に見えないのは、腹ビレと胸ビレが退化し、背ビレと尾ビレもつながっているからでしょうか。体が厚い皮膚に覆われていて、一見鱗が無いように見えますが、実は小さな鱗が皮膚の下に埋もれています。背ビレと尾ビレまでも皮膚に覆われているので、体全体がすっぽり皮膚に覆われている感じです。ウツボのもう一つの大きな特徴として、肉食性で大きな口と鋭い歯を持ちます。顔をよく見ると、口は目よりも奥まで開くようになっていて、小型の魚やエビ・カニ、タコなどを餌としています。   歯が鋭く噛みつく力も強いので、私が子供の頃脅されたように、確かに人間でも噛まれると大変です。しかし、ウツボも好き好んで人を襲うわけではなく、こちらが余計な攻撃をしたり近付き過ぎたりしなければ、噛まれることはまずありません。歳を取ってそれが分かってからは、以前ほどウツボを恐れることはなくなりました。...

ハワイのトレイルその22~ヌアロロ(カウアイ島)

ヌアロロは、カウアイ島のコケエ州立公園内にあるトレイルのひとつです。ハイウェイ550沿 いからトレイルに入り、山道を下って、最終地点のロロ・ビスタ(展望所)まで行くコースで す。ロロ・ビスタでは、天気がよければ崖の上からヌアロロ・バレーの素晴らしい眺めが望め ます。トレイルの入り口は、コケエ・ロッジのすぐ近くにあります。車はコケエ・ロッジの駐 車場にとめて出かけます。 トレイルの序盤は、コアやユーカリの林を通ります。カウアイ・エレパイオの声を聞いたり、 姿を見ることができるかもしれません。400メートルほどすすむと道は急な下りになります。 その後は平面、登り、そして再び急な下りを繰り返します。2マイルの標識あたりから、乾燥 した森になっていきます。3マイルの標識をすこし過ぎると、ヌアロロ・トレイルとアヴァア ヴァプヒ・トレイルを繋ぐヌアロロ・クリフ・トレイルとの交差点があります。ヌアロロ・ト レイルをまっすぐ進みます。 やがて最終地点のロロ・ビスタに到達します。景色を楽しんだ後は、来た道を戻ります。帰り は基本的に登りになります。ヌアロロ・トレイルは、道が湿っているときにはとても滑りやす いので足下に注意が必要です。危険な箇所も多いので、雨の日は避けた方が良いでしょう。雨 の日のロロ・ビスタは雲と霧につつまれて景色を望むこともできない場合が多いようです。 場所:ハエナ(カウアイ島) コース:往復 往復距離:12km 高低差:536m...

タコの話

最近個人的にタコポキにハマっています。ハワイの人たちもタコが好きで、スーパーのポキ売り場には大抵マグロと一緒にタコポキが売られています。さらにハワイの人には日本語で「タコ」と言っても通じます。そこで今回は、このタコについてお話したいと思います。 タコは無脊椎動物の中でも最も高度な知能を持つと言われています。視力が発達していて、色や形を識別することができます。また、カメレオンのように、自分の周りの色に合わせて体の色を変えることができます。そのため、たまに水族館でも周りと同化していてすぐに見付けられない事があります。タコの頭に見える部分は実は胴体で、頭はその胴体の下部、8本の腕の付け根部分にあります。これはイカも同様で、つまりは頭から足が生えているということですね。そのためタコやイカは「頭足類」と呼ばれているのです。 さて、タコやイカが敵から逃げる際に黒いスミを吐くことは皆さんご存知だと思います。イカスミがおいしいのはパスタなどにも使われることで知られていますが、どうやらタコのスミの方がおいしいらしいのです。しかし、タコのスミはイカスミよりも加工がしにくく料理には向いていないのだとか。私はイカスミのパスタが好きで、時々無性に食べたくなることがあります。イカスミより美味しいなら、一度タコスミのパスタも食べてみたいですね。...

アマキヒ(1)の続きです。 カウアイ・アマキヒは、アマキヒの中ではもっとも体が大きく、もっとも長くて太い嘴を持ちます。木の樹皮の内側にいる虫、花蜜、さらにはジャワプラムの実や、バナナポカやリリコイの花などで食事をしている姿も目撃されています。コケエ州立公園内のトレイルで見ることができます。 オアフ・アマキヒは、ハワイ・アマキヒに似ていますが、オアフ・アマキヒのほうが嘴がやや太く、さえずりがゆっくりしています。一部の雄には黄色い眉斑があり、胸部がさらに黄色です。鳥マラリアへの抵抗力を持っており、蚊がいる標高の低い外来植物に覆われた森林でも見られます。近年はマノアなど住宅地付近でも数を増やしています。 ハワイ・アマキヒは、アマキヒの中でもっとも明るい色です。オアフ・アマキヒと同じように、ハワイ・アマキヒも鳥マラリアへの抵抗力を持っています。ハワイ火山国立公園などで見ることができます。ハワイ・アマキヒの亜種であるマウイ・アマキヒは、ハワイ・アマキヒとほぼ同じ形体をしています。マウイ島にはまだ数多く生息しています。モロカイ島ではわずかながら生息しています。ラナイ島には現在はもう生息していません。 おわり 日本語名:ハワイミツスイ ハワイ語名:’Amakihi 学名:Hemignathus kauaiensis(カウアイ・アマキヒ)、Hemignathus flavus(オアフ・アマキヒ)、Hemignathus virens virens(ハワイ・アマキヒ)、Hemignathus virens wilsoni(マウイ・アマキヒ) 分類:アトリ科(Fringillidae)ハワイミツスイ亜科(Drepanidinae) その他:ハワイ固有種(endemic)...

クラゲの話

先日、ハナウマ湾にハコクラゲが大量発生したニュースを見ました。40人近くの人が刺されたそうで、ハナウマ湾もその日は閉鎖されました。そこで今回は、クラゲのお話をさせて頂きたいと思います。 クラゲはサンゴと同じ刺胞動物の仲間です。クラゲは刺すイメージがあると思いますが、刺胞動物は刺細胞という細胞の中に「刺胞」と呼ばれる小器官を持っていて、これがエサなどに触れると針を刺して毒を注入するのです。実は、私達が海でよく見るクラゲには目と口があるのです。目は眼点と呼ばれ、クラゲの傘の淵に付いていて、よく見ると淵に沿って小さな点々が間隔を置いて並んでいます。目といっても、私たちの目のように色や物の形が見えるわけではなく、光の射してくる方向を感知できるといった程度のものです。口は傘の内側の中央にあり、ここからエサを体内に取り込みます。 さて、最初に触れたハコクラゲですが、ハコクラゲは名前の通り箱形をしたクラゲです。ハコクラゲのうち数種は猛毒を持っていて、いわゆる「毒クラゲ」と呼ばれるのはこれらです。この毒クラゲは満月の1週間から10日後に発生し、ワイキキやハナウマ湾にもよく大量に出現します。もしこのクラゲが発生していたら(注意報やサインが出ています)、海には入らないようにしましょう。...

アマキヒ(1)

アマキヒは、ハワイミツスイ類のなかでは、比較的に森の中で出会えることが多い鳥です。オアフ島の種(オアフ・アマキヒ)、カウアイ島の種(カウアイ・アマキヒ)、ハワイ島/モロカイ島/ラナイ島/マウイ島の種の3種に分類され、さらにハワイ島/モロカイ島/ラナイ島/マウイ島の種は、ハワイ島の種(ハワイ・アマキヒ)と、カホオラヴェ島を除いたマウイ・ヌイ(モロカイ島/ラナイ島/マウイ島)の種(マウイ・アマキヒ)の2つの亜種に分けられます。   標高600m以上の在来植物の森にもっとも多く生息していますが、特にオアフ島とハワイ島では、それより標高が低い外来植物の森でも見られます。花蜜、果実、虫を探して木々を飛び回ります。繁殖は冬に始まりますが、年によって長さは異なります。 全長11cm。雌雄異色。雄は上面が黄色がかった緑色で下面は黄色です。幼鳥と雌は、雄にくらべるとややくすんだ色をしています。カーブしたグレーの嘴と暗い目元は、雄のほうが顕著にみられます。さえずりは、途切れのないトレモロ(同音もしくは近い音程の音を小刻みに連続するさえずり)です。地鳴きはバラエティに富んでいますが、「チュイー」と音程が上がるスラーや、きしるような「チィー」などがあります。...

カクレクマノミの話

最近、私が教えている授業の中で、カクレクマノミとイソギンチャクの共生の話が出てきました。カクレクマノミといえば、人気のディズニー映画「ファインディング・ニモ」の主人公ですね。ワイキキ水族館にカクレクマノミの水槽がありますが、この水槽の前では必ずと言っていいほど、子供たちが「ニモだ!」と言っているのを聞くことができます。今回は、このニモのお話をさせて頂きます。 オレンジ色の体に白い3本のラインが特徴のカクレクマノミは、スズキ目スズメダイ科クマノミ亜科クマノミ属の魚です。クマノミは先程も出てきたように、大きなイソギンチャクを住処にしています。イソギンチャクはクラゲと同じ刺胞動物で、触手に毒入り針を持った細胞があるので、普通の魚はこの毒針にやられてしまいます。しかし、クマノミはこの毒に反応しないので、イソギンチャクの中にいることで外敵から身を守っているのです。先程「共生」といいましたが、共生は両方の生物が何らかの利益を得る関係性です。しかし、クマノミがイソギンチャクに守られているのに対し、イソギンチャク側がこの関係から何らかの利益を得ているかはいまいちハッキリしていません。イソギンチャクにとって害となる小動物をクマノミが食べて取り除いている、という説もあります。 クマノミは通常、一組のつがいと何匹かの小さなオスが同じイソギンチャクに住んでいます。つがいの大きい方がメスです。メスが死ぬと、オスが性転換してメスになり、次に大きなオスが“昇格”して新たなつがいとなります。オスが急にメスになるってなんだか不思議ですが、実は魚の世界では、性転換はよくあることなのです。...

カノコバト

カノコバトは、インド、中国、フィリピン、インドネシアなどが原産のハトです。ハワイには1800年代の半ばに移入されました。ハワイでは町中でも郊外でもよく見ることができる鳥です。在来植物の森にも生息します。ハワイの主な島々の、標高約2,400mまでの地域に広く分布します。町中では人に慣れていますが、同じくハワイで一般的に見られるチョウショウバトよりは警戒心が強いようです。   全長31cm、雌雄同色。チョウショウバト(全長20cm)よりも大きいので簡単に見分けることができます。体は灰色か、灰色がかった茶色です。頸の後ろ側が黒く、日本語名にあるカノコ(鹿の子)の通り、白い斑点が散在します。若鳥にはこの模様はありません。眼球の虹彩は赤色で、足はピンクです。     主な食べ物は植物の種子です。木や茂みに小枝で巣を作ります。繁殖は通年行われ、1回に1~2個の白い卵を産みます。英語名の Spotted Dove は、「斑点があるハト」という意味です。ハワイの地元では Mountain Dove(山のハト)と呼ばれることもあります。さらにハワイでは、その鳴き声から「エカホ(Ekaho)」と呼ばれることもあるそうです。   powered by ロイヤルグリーン ライター:Haya こんにちは、Hayaです。ご存知の通り、ハワイの大きな魅力の一つは、海山ともに恵まれた大自然です。ワイキキの街中からすぐ近くのビーチでもハワイアン・モンク・シールがお昼寝していますし、車でわずか30分も山側へゆけば、そこはハワイ固有のミツスイたちの生息地だったりします。そんなハワイのかけがえのない自然を題材にして書いていこうと思います。ときにはフラのイラストも交えつつ、ハワイの伝説や神々にもスポットを当てたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。...

サメの話

  もうすぐイースターということで、ハワイでも週末はあちこちでエッグハントが行われます。この週末はワイキキ水族館で恒例の”Sea Hunt”というイースターイベントがあり、娘を連れて行ってきました。最近娘はなぜかサメがブームのようで、水族館でもサメを興味津々に見ていました。そこで今回はサメのお話をさせて頂きたいと思います。サメというとジョーズのような恐ろしい人食いザメのイメージがありますね。ハワイでも時折サーファーがサメに襲われることがありますが、実は人を襲う種類は全体の1割程度にすぎません。世界最大の魚であるジンベエザメなどはプランクトンを主食としています。 一般的な魚である硬骨魚類には浮き袋があって、浮力の調整をしていますが、サメやエイには浮き袋がありません。その代わり、海水より比重の軽い油(肝油)を大きな肝臓に蓄えて浮力調整をしています。しかし、海水より重い体全体の比重には肝油だけでは不十分で、水中で沈まずに留まっているためには泳ぎ続けていなければなりません。     ジンベエザメなどプランクトン食のサメの口にはとても小さな歯が300本以上も生えています。これに対し、肉食性のサメの口には鋭い歯が数列並んでいます。サメの歯は継続的に交換され、使われている歯列の内1本でも抜けると、すぐ後ろの新しい歯列に押し出される形で今使われている歯列が揃って抜けます。サメの歯の化石が売られているのをご覧になったことはありますか?私も小学生の時に買ったものを未だに大切に持っています。サメの骨格は全身軟骨で出来ているため、ほとんど化石として残らないのですが、軟骨で出来ていない歯だけは化石となって発見されるのです。 powered by Aloha Sound(ハワイアンミュージックダウンロードサイト) ライター:Mahealani 東京生まれ、東京育ち。幼少の頃、家族で夏を海辺で過ごすことが多かったおかげで海の生き物に興味を持つ。当時の愛読書は学研の海の生き物図鑑。遊園地よりも水族館が好きだった(現在も)。日本で某理系大学卒業後しばらく社会人生活を送っていたが、観光で訪れたミッドウェイ環礁で出会った研究者達に触発され、復学を決意。海洋生物学を学ぶためハワイ大学に編入。卒業後大学院に進学し、結婚・出産後も子育てしながら学生生活を満喫中。専門は海藻、特にハワイのアオウミガメの食べる海藻について研究中。プランクトンからクジラまで、大好きな海の生き物たちの話を皆様とシェアできたらと思っております。...