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ピタヤ(ドラゴンフルーツ)

ピタヤは、中央アメリカ原産のサボテンです。現在は、花と果実のために世界各地の熱帯地方で広く栽培されています。ハワイには1830年頃にオアフ島に持ち込まれたのが最初とされていて、今日では主要な島々すべてで植えられています。ハワイ在住日本人の間では、ゲッカビジン(月下美人)と呼ばれることがよくありますが、本種とゲッカビジンは別種です。 茎は幅が2~3cmの薄い羽が3つ合わさったような形をしていて、縁は円状に波打っています。壁や木を這うように伸びていきます。花は長さ25~30cm、直径15~25cm。花は夜行性で、夏から秋にかけて数回だけ、夕方に開花して翌朝まで咲いています。果実は赤く楕円形で、長さ5~12.5cm、直径4~9cm。ハワイでは果実をつけることはあまりないようです。 ハワイでは、オバマ大統領の出身校であるプナホウ・スクール(ホノルル市)の、数百メートルにわたる長い垣根に植えられているピタヤが特に有名です。ハワイ語名のpanini-o-Ka-puna-houは、「プナホウ・スクールのサボテン」という意味です。プナホウ・スクールは以前はKa-puna-houと呼ばれていました。 日本語名:ピタヤ(ドラゴンフルーツ) ハワイ語名:panini-o-Ka-puna-hou, papipi pua 英語名:night-blooming cereus 学名:Hylocereus undatus 分類:サボテン科(Cactaceae)ヒロケレウス属(Hylocereus) その他:外来種(alien)  ...

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メガネモチノウオの話

すみだ水族館のメガネモチノウオ 前回はサンシャイン国祭水族館で出会ったピラルクのお話をさせて頂きましたが、今回の日本滞在ではもう一つ水族館を訪れる事ができました。それは東京スカイツリーに隣接する「すみだ水族館」です。新しい水族館はタダでさえ奇麗でワクワクするのですが、飼育の裏側を垣間見る事ができるラボがあったりと、なかなか見応えのある水族館でした。今回は、このすみだ水族館で出会ったメガネモチノウオのお話です。 メガネモチノウオはスズキ目ベラ科の大型の魚です。多くの方々には「ナポレオンフィッシュ」という別名の方がピンと来るかもしれません。その昔、佐野元春さんの曲で「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」という曲がありましたが、年齢がバレますね。ナポレオンフィッシュというとかっこいいですが、初めて日本名がメガネモチノウオだと知った時はその大きな体になんだか似つかず、拍子抜けしました。この名前は、口元から目を通って目の後ろの方まで線が通っていて、眼鏡をかけているように見える事から付けられました。オスはこの線は成長に連れ薄くなっていきます。 オスは2m近くになる事もあり、体の色が来褐色から青緑色ときれいな事から、ダイバーにも人気の魚です。日本でも鹿児島や沖縄の南西諸島沿岸に生息しています。しかし最近では絶滅危惧種にも指定され、個体数が激減しています。いつまでもその優雅な姿が見られるといいですね。...

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アケケケ(キョウジョシギ)

アケケケ(キョウジョシギ)は、ハワイの代表的な渡り鳥の一つです。日本にも渡ってきます。8月に北極圏からハワイに渡ってきて越冬し、4月~5月に再び繁殖地である北極圏へ渡ります。わずかながらハワイで夏を越す個体もいます。小石の散らばった海岸や泥地などで、ペアか、数羽の小さい群でいることが多く、他の海辺の鳥と一緒にいることもよくあります。 全長約23cm。冬羽の上面は茶色、下面は白色で、頭と胸に黒い模様があります。嘴は黒色、足はオレンジ色です。繁殖期には茶色がより赤みを帯び、黒い模様がさらに濃くなります。飛翔時には翼、背中、尾の白黒模様がとても特徴的です。「ケケケケ」という鳴き声が、ハワイ語の名前の由来かと思われます。 飛ぶときは素早く、飛翔時は群全体で同じ動きをします。ハワイに渡って来て間もない8月末から9月にかけては250羽以上の群が見られることもあるそうです。嘴で小石をひっくり返して虫や甲殻類を探します。そのために首の筋肉が発達していて、全体的にがっちりとした印象があります。他の海鳥の卵を割って食べることもあります。   日本語名:キョウジョシギ(京女鷸) ハワイ語名:’Akekeke 英語名:Ruddy Turnstone 学名:Arenaria interpres 分類:シギ科(Scolopacidae) その他:渡り鳥(visitor)  ...

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ピラルクの話

6月に所用で3週間ほど日本に滞在していました。日本で楽しみなのは水族館に行くこと。こぢんまりとしたワイキキ水族館も好きですが、日本の大きくてきれいな水族館はいつ言ってもワクワクします。今回の滞在では、私のホームグラウンドとでも言うべき池袋サンシャイン国際水族館に5年振りに行く事ができました。そこで一番感動したのは、子供の頃憧れだったピラルク(ピラルクーとも呼ばれます)を見られた事です。今回は、海の中を少し離れ、このピラルクのお話をさせて頂きたいと思います。 ピラルクはアロワナ目アロワナ科に属する魚で、アマゾン川に生息しています。最大の特徴はやはりその体の大きさでしょう。ピラルクは世界最大の淡水魚と言われています。私も子供の頃、図鑑で4mにもなるというのを読んで、実際に見たらどんなに大きいのだろうと憧れたのです。実際に見ると巨大なアロワナという感じですが、頭が横に平べったく、尾に向かって縦に平べったくなっているのが特徴的です。1億年以上も姿形が変わっていないといわれ、シーラカンスと同様生きた化石と言われています。 私が子供の頃読んだ図鑑には、ピラルクの大きさを示すエピソードとして、その大きなうろこが靴べらとして使われていると書かれていました。実は今でも密かに、ピラルクの鱗の靴べらがなんとか手に入らないかなと思っているのです。...

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マウイ・アラウアヒオ(マウイ・クリーパー)

マウイ・アラウアヒオは、マウイ島にのみ生息するハワイミツスイです。マウイ・クリーパーとも呼ばれます。ハレアカラの標高約1,300m以上の在来植物の森に分布します。以前は西マウイとラナイ島にも生息していましたが、現在はもう見られません。生息数は減少傾向にあり、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは、絶滅危惧IB類(Endangered)に指定されています。 全長10cm。雌雄異色。雄は上面が黄緑色で下面がレモンのような明るい黄色、顔は黄色です。雌はくすんだ色をしていて、胸の上部と喉が黄色を帯びてます。雌雄ともに嘴は短くまっすぐで明るいピンク色です。足も明るい色です。マウイ・アマキヒの目先が広い範囲ではっきりと黒いのに対して、マウイ・アラウアヒオの目先はわずかに黒い程度です。 さえずりは短く不規則です。ほかのハワイミツスイ類とは明らかに異なる音なので、まずこの鳴き声で居場所を確認できる場合がよくあります。地鳴きは短い「チッ、チッ、チッ」を繰り返します。木にとまって、葉っぱや枝にいる虫を探して活発に動き回ります。花の蜜を吸うことはあまりありません。 日本語名:ハワイ語名:Maui ‘Alauahio 英語名:Maui Creeper 学名:Paroreomyza montana 分類:アトリ科(Fringillidae)ハワイミツスイ亜科(Drepanidinae) その他:マウイ島固有種(endemic)...

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アホウドリの話

先日、海藻のサンプルを採取しにカエナ・ポイントまで行きました。カエナ・ポイントはアホウドリの繁殖地になっています。アホウドリというと名前にとてもインパクトがありますが、実物は意外に大きくてとてもかっこいい鳥です。アホウドリという日本語名は、陸上での動きが遅く簡単に捕獲できたことに由来するといわれます。 私が初めてアホウドリの仲間を間近で見たのはミッドウェイ環礁に行った時でした。ミッドウェイはコアホウドリやクロアシアホウドリの営巣地になっていて、私が訪れたのはちょうど繁殖期の始まりでした。初日には疎らだった巣の数が日に日に増えていき、一週間の滞在を終えるころには辺り一面巣に覆われていたほどです。アホウドリは生まれた場所に戻ってきて巣を作ります。一度つがいになると一生相手を変えることなく、毎年一つだけ卵を産みます。 ミッドウェイではコアホウドリのヒナの死骸と一緒に、使い捨てライターなどの沢山のプラスチック製品があるのを見かけました。ヒナは親鳥が海から取ってきて半分消化した餌を口移しでもらいますが、親鳥が海に浮かんでいるプラスチック製品を餌と間違え食べ、そのままヒナに与えてしまいます。ヒナは親鳥のように食べた物を吐き出すことがまだできないため、お腹の中に消化できないプラスチックが溜まって満腹になり、餌が食べられなくなって死んでしまうのです。中には日本語の書かれたプラスチックもありました。日本で捨てられたゴミが遠く離れたミッドウェイのアホウドリにまで影響を与える、何とも考えさせられる光景でした。...

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オーマオ(ハワイツグミ)

オーマオは、ハワイ固有のツグミです。ハワイ島にのみ生息します。マウナ・ケアとマウナ・ロアの東側のスロープの湿潤な在来植物の森で多くみられます。標高900m以上の地域に多く生息しますが、標高約550mの場所でも観察された記録があります。マウナ・ロアの乾燥した高山性の低木林にもわずかに生息しています。コハラの山々には生息していません。 全長18cm。雌雄ほぼ同色。上面は灰色を帯びた茶色、下面は灰色です。尾は短く、嘴は黒色、足は茶色です。さえずりはとても音楽的で、ときに数秒続くこともあります。森の中では、夜明けに最初に聞こえてくる鳥の鳴き声の一つです。地鳴きは大きな「ガー」や、ホイッスルの様な「ピー」などがあります。 通常は森の上層にいることが多い鳥ですが、地面近くや地面にもよく降りてきて果実(ピロやオーラパなど)や虫を食べます。長い時間動くことなく大きなコアやオーヒアの枝にとまっている姿がよくみられます。木にとまっているときに翼を震わせる習性があります。かつては、ハワイの主要な島々それぞれに固有のツグミがいたのですが、現在はカウアイ島のプアイオヒと、ハワイ島のオーマオ以外は絶滅しています。 日本語名:ハワイツグミ ハワイ語名:’Oma’o 英語名:Hawaiian Thrush 学名:Myadestes obscurus 分類:ツグミ科(Turdidae) その他:ハワイ島固有種(endemic)...

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サンゴの話

ハワイのような南の島といって思い浮かべられるものの一つがサンゴ礁ですね。サンゴは刺胞動物門に属する立派な動物です。世界中にはサンゴ礁を造るサンゴ(主に六放サンゴ亜網イシサンゴ目に属する)は1300以上の種類が存在するといわれています。そのうちハワイで見られるのは約40種類ですが、その中でもたった4種類のサンゴが全体の90%を占めていると言われています。カリフラワー・コーラル(cauliflower coral, Pocillopora meandrina)、ローブ・コーラル(lobe coral, Porites lobata)、フィンガー・コーラル(finger coral, Porites compressa)、そしてライス・コーラル(rice coral, Montipora capitata)です。 サンゴの成長はあまり速くないというのは皆さんご存知だと思いますが、速いもので1年に15センチ、遅いものだと1年に1センチしか大きくなりません。サンゴは6本又はその倍数の触手を持つ小さなイソギンチャクのようなポリプの集合体で、炭酸カルシウムの骨格を作り、それがサンゴ礁を作り上げます。ちなみに、アカサンゴなどの宝石として使われるサンゴは造礁サンゴとは違う八放サンゴ亜網に属し、深海に住んでいます。 サンゴのポリプには褐虫藻(zooxanthellae)という単細胞の藻類が共生していて、この褐虫藻が日中光合成をしてサンゴに養分を提供しています。サンゴの青や緑の色は、この褐虫藻によるものです。深いところには十分な光が届かず褐虫藻が光合成できないので、サンゴは比較的水深の浅いところでのみ見られます。サンゴの白化現象が話題になることがありますが、これは褐虫藻がサンゴから放出されることによって起こります。海水温が高くなり過ぎると褐虫藻 がサンゴから失われるため、地球温暖化が白化の原因の一つではないかと言われています。...

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カアラ山(オアフ島)2

カアラ山(オアフ島)1のつづきです。 やがて看板があり、カアラ自然保護地域(Ka’ala Natural Area Reserve)に入ります。ブラシが設置されているので、ここで靴に着いた外来種の種などを丁寧に落とします。山頂が近くなると、尾根が狭くなり、登りが緩やかになります。この付近ではコリイというキキョウ科の植物が見られます。しばらく進むと道が平坦になり、湿原(ボグ)になります。ここからは、板で作られた歩道の上を歩きます。 霧が立ちこめることの多いこのカアラ山頂のボグは、オアフでもっとも素晴らしいハイキングが体験できる場所の一つだと思います。ラパラパ、オーヒア、アラニ、カナワオなどの土着の植物がたくさん自生しています。アパパネ(ハワイアカミツスイ)の姿も見ることができるかもしれません。ボグを抜けるとゲートがあり、ヘリパッドがあります。さらにすぐ「End of Hiking Trail」という看板があります。ここが頂上です。帰りは、来た道を下ります。 ハワイの伝説では、カアラ山とワイアナエ山脈にはカイオナという名の女神が住んでいると云われています。カイオナはとても優しい神で、山で道に迷った人がいると、オオグンカンドリ(ハワイ語で「’iwa」)に道案内をさせて、迷った人を森から助けてくれるのだそうです。もしカアラ山でオオグンカンドリをみかけたら、それはもしかしたらカイオナの使いなのかもしれません。 おわり 場所:ワイアナエ、カエナ、ハレイワ(オアフ島) コース:往復 往復距離:13km 高低差:1067m ※このハイキングコースは、中~上級者向けです。このコースに限りませんが、ハイキングに行かれるときは、十分に下調べをして、経験のある方と同行することをお勧めします。英語、体力、現地の地理などに少しでも不安がある場合は決して無理をせず、計画を切り上げましょう。...

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イカの話

ちょっと前の事ですが、ワイキキで海藻採取のために泳いでいたところ、2匹のイカに遭遇しま した。泳いでいるイカを間近でみる事はなかなかありませんので、しばし海藻の事は忘れて見と れていました。そこで今回は、イカのお話をさせて頂きたいと思います。 イカは少し前にご紹介したタコやと同じ軟体動物の仲間です。ご存知の通り10本の腕があるので 十腕形上目に属します。ちなみにタコは八腕形上目です。腕にはタコと同様吸盤が並んでいます が、実際は10本中8本だけが腕で、2本は吸盤が先端にしか付いていない「触腕」と呼ばれるもの です。この2本の触腕は伸び縮みすることができます。 英語でイカにあたる言葉には、よく知られた“squid”ともう一つ“cuttlefish”の二つがありま す。“Squid”は十腕形上目の中のツツイカ目のイカ、一方“cuttlefish”はコウイカ目のイカを 指します。ツツイカ目のイカは、スルメイカのような細長い胴体の先に三角形の俗に言う「イカの 耳」(本当はヒレです)が付いているものを思い浮かべて頂ければと思います。それに比べてコウ イカ目のイカは、体がもっと丸みを帯びていて、「イカの耳」に当たる部分も胴体の周りをひら ひらと覆うように付いています。有名どころでいうとモンゴウイカでしょうか。今度スーパーや 水族館でイカを見る時は、それが“squid”か“cuttlefish”なのか当ててみて下さい。...