ワイキキ水族館にいた大きなヤドカリ

私はよく、実験やクラスを教える時に使う海藻を採りに岩場の潮溜まりに行きます。
潮溜まりには小魚やカニなど、色々な生き物がいるので、
たまに海藻を採る手を止めて観察してしまうのですが、
その中でもかわいくて好きなのがヤドカリです。
子供の頃にも海に行くとよくヤドカリを捕っていた記憶があります。
そこで今回は、このヤドカリのお話。
 
 ヤドカリと聞いてどんな生き物だか全く想像がつかない方は、
ほとんどいらっしゃらないでしょう。
貝殻を背負っていますが、貝類ではありません。
エビやカニと同じ、十脚目の甲殻類です。
ヤドカリは英語ではHermit Crab(ハーミットクラブ)と言います。
背負っているのは主に巻貝の殻で、殻の元々の持ち主の貝が死んで空になったものを利用しています。
ヤドカリの体は巻貝にうまく収まるように変形していて、また常に貝殻の中に体(腹部)を収めているので、カニの甲羅のように固くはありません。
カニと同じように第一脚ははさみになっていて、左右のはさみの大きさが違います。
危険を感じた時は、体を貝殻の中に引っ込めて、大きい方のはさみで蓋をします。
 
体が大きくなると、貝殻を“引っ越し”するのもよく知られていますね。
実は、ヤドカリ間の競争の一番の理由は食べ物でなく、
ちょうど良い貝殻の奪い合いだと言われています。
ワイキキ水族館のタッチプールでは、ボランティアの方がヤドカリを触らせてくれますので、是非手に乗せて観察してみて下さい。


東京生まれ、東京育ち。幼少の頃、家族で夏を海辺で過ごすことが多かったおかげで海の生き物に興味を持つ。当時の愛読書は学研の海の生き物図鑑。遊園地よりも水族館が好きだった(現在も)。日本で某理系大学卒業後しばらく社会人生活を送っていたが、観光で訪れたミッドウェイ環礁で出会った研究者達に触発され、復学を決意。海洋生物学を学ぶためハワイ大学に編入。卒業後大学院に進学し、結婚・出産後も子育てしながら学生生活を満喫中。専門は海藻、特にハワイのアオウミガメの食べる海藻について研究中。プランクトンからクジラまで、大好きな海の生き物たちの話を皆様とシェアできたらと思っております。