チョウチンアンコウの標本(名古屋港水族館)

チョウチンアンコウの標本(名古屋港水族館)

前回は深海に住むテンガイハタのお話をさせていだだきましたが、深海魚にはまだまだたくさん面白いものがいます。その中でも、チョウチンアンコウといえば、名前だけでもお馴染みなのではないでしょうか。今回は、このチョウチンアンコウについてお話しさせていただきたいと思います。

チョウチンアンコウ

チョウチンアンコウ

チョウチンアンコウは、アンコウ目チョウチンアンコウ科に属する魚です。ちなみにチョウチンアンコウ科には、チョウチンアンコウを含む18種が属しています。主に大西洋に分布していますが(英語名はAtlantic footballfish)、太平洋にも生息し、日本でも見られることがあります。生息水深はテンガイハタと同じ、水深200?800mの中深層が中心であると考えられています。体長は60cmほどになりますが、この大きさになるのは雌のみで、雄は4cmほどにしか成長しません。このように雄が雌より極端に小さいことを矮雄(わいゆう)と言います。チョウチンアンコウに近い仲間には、この小さい雄が雌に寄生し、口が雌の皮膚に完全にくっついてしまうものもあるのですが、チョウチンアンコウ科の雄は雌に寄生せずに自由生活を送ります。

チョウチンアンコウ

チョウチンアンコウ

さて、チョウチンアンコウといえば忘れてはいけないのが、その頭に付いている「提灯」ですよね。ご存知の方も多いと思いますが、これは餌をおびき寄せるために使われます。この釣竿のような器官は誘引突起(イリシウム)、その先端は擬餌状体(エスカ)と呼ばれます。このエスカが発光し、餌をおびき寄せるのです。