タコクラゲ
前回は最もポピュラーなクラゲであるミズクラゲのお話をさせて頂きました。ワイキキ水族館には、クラゲの展示をして欲しいという個人からの寄付で、クラゲ展示コーナーが作られています。その中に、8本の長い腕を持ち、丸い傘を頻繁に開閉して泳いでいるクラゲがいます。今回は、このタコクラゲというクラゲについてお話させて頂きたいと思います。
ワイキキ水族館のタコクラゲ
タコクラゲは、刺胞動物門鉢虫綱根口クラゲ目タコクラゲ科に属しています。成体の傘の直径は12cmくらいになります。ミズクラゲと違って、傘の周辺には触手がありませんが、傘の下側中央の口の周りにフリルがたくさん付いたような8本の口腕があり、この口腕の先に長い棒状の器官が付いています。しかし、この棒状の器官は触手ではなく、その役割はよくわかっていません。タコクラゲという名前は、もちろんその8本の長い腕を持つ形態がタコに似ているから付けられたものです。ミクロネシアではタコクラゲは環礁に囲まれた静かな湾内で見られるため、英語ではlagoon jellyと呼ばれています。
ワイキキ水族館のタコクラゲ
タコクラゲが面白いのは、体内にサンゴと同じ褐虫藻という単細胞の海藻が共生していることです。そのため体の色がちょっと茶色っぽくなっています。タコクラゲ自身も微小なプランクトンを捕食しますが、褐虫藻からもその光合成産物を栄養として受け取っています。そのため、中には日光がよりあたる所を求めて動くものもいるようです。タコクラゲもミズクラゲと同様、刺されてもあまり痛くありませんので、海中で遭遇してもあまり怖がらなくても大丈夫ですよ。