最近、私が教えている授業の中で、カクレクマノミとイソギンチャクの共生の話が出てきました。カクレクマノミといえば、人気のディズニー映画「ファインディング・ニモ」の主人公ですね。ワイキキ水族館にカクレクマノミの水槽がありますが、この水槽の前では必ずと言っていいほど、子供たちが「ニモだ!」と言っているのを聞くことができます。今回は、このニモのお話をさせて頂きます。
オレンジ色の体に白い3本のラインが特徴のカクレクマノミは、スズキ目スズメダイ科クマノミ亜科クマノミ属の魚です。クマノミは先程も出てきたように、大きなイソギンチャクを住処にしています。イソギンチャクはクラゲと同じ刺胞動物で、触手に毒入り針を持った細胞があるので、普通の魚はこの毒針にやられてしまいます。しかし、クマノミはこの毒に反応しないので、イソギンチャクの中にいることで外敵から身を守っているのです。先程「共生」といいましたが、共生は両方の生物が何らかの利益を得る関係性です。しかし、クマノミがイソギンチャクに守られているのに対し、イソギンチャク側がこの関係から何らかの利益を得ているかはいまいちハッキリしていません。イソギンチャクにとって害となる小動物をクマノミが食べて取り除いている、という説もあります。
クマノミは通常、一組のつがいと何匹かの小さなオスが同じイソギンチャクに住んでいます。つがいの大きい方がメスです。メスが死ぬと、オスが性転換してメスになり、次に大きなオスが“昇格”して新たなつがいとなります。オスが急にメスになるってなんだか不思議ですが、実は魚の世界では、性転換はよくあることなのです。