先日、海藻のサンプルを採取しにカエナ・ポイントまで行きました。カエナ・ポイントはアホウドリの繁殖地になっています。アホウドリというと名前にとてもインパクトがありますが、実物は意外に大きくてとてもかっこいい鳥です。アホウドリという日本語名は、陸上での動きが遅く簡単に捕獲できたことに由来するといわれます。
私が初めてアホウドリの仲間を間近で見たのはミッドウェイ環礁に行った時でした。ミッドウェイはコアホウドリやクロアシアホウドリの営巣地になっていて、私が訪れたのはちょうど繁殖期の始まりでした。初日には疎らだった巣の数が日に日に増えていき、一週間の滞在を終えるころには辺り一面巣に覆われていたほどです。アホウドリは生まれた場所に戻ってきて巣を作ります。一度つがいになると一生相手を変えることなく、毎年一つだけ卵を産みます。
ミッドウェイではコアホウドリのヒナの死骸と一緒に、使い捨てライターなどの沢山のプラスチック製品があるのを見かけました。ヒナは親鳥が海から取ってきて半分消化した餌を口移しでもらいますが、親鳥が海に浮かんでいるプラスチック製品を餌と間違え食べ、そのままヒナに与えてしまいます。ヒナは親鳥のように食べた物を吐き出すことがまだできないため、お腹の中に消化できないプラスチックが溜まって満腹になり、餌が食べられなくなって死んでしまうのです。中には日本語の書かれたプラスチックもありました。日本で捨てられたゴミが遠く離れたミッドウェイのアホウドリにまで影響を与える、何とも考えさせられる光景でした。