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アマウ

アマウは、ハワイの溶岩地帯や湿った森に自生するシダです。6種あり、そのすべてがハワイ固有種です。6種のうち4種は中~大型の木生シダで、残りの2種は小型のシダです。昔のハワイ人は、アマウの幹や若い葉から、赤色の染料を作りました。また、飢饉のときには幹の中心のでんぷん質の部分を調理して食べていたそうです。 ハワイ火山国立公園などで最も多く見つけることができるアマウは、S. cyatheoidesという種です。高さは60~90cmくらいが一般的ですが、大きいものは3m近くまで育ちます。おなじ木生シダであるハープウ(タカワラビ科)と比べるとアマウのほうが葉が小さく、ハープウは複葉化が三度ある三回複葉なのに対し、アマウは二回複葉です。 ハワイ火山国立公園にある有名なキーラウエア火山の火口ハレマウマウは、直訳すると「アマウの家」という意味になります。アマウの若い葉は赤みを帯びていますが、これは、火山の女神ペレの影響だと信じられていたようです。またアマウは、カマプアアという、豚と人の半神が化けることができる姿の一つとも云われています。 日本語名:― ハワイ語名:ʻamaʻu、maʻumaʻu、maʻu 英語名:― 学名:Sadleria spp. 分類:シシガシラ科(Blechnaceae) その他:ハワイ固有種(endemic)  ...

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ロウル

ロウルはハワイ固有のヤシの木です。19種あり、その一つ一つがカウアイ島、オアフ島などの単一の島のみに分布する固有種です。古生物学の研究によると、ロウルは、古代ハワイの海岸から標高の高い湿った森まで数多く生育していたそうです。現在、少なくともオアフ島では、雨が多い山の頂付近でいくらか見られる程度です。 ヤシの木としては中型ですが、なかには高さ約30mまで育つ種もあります。葉は掌状複葉。果実は球形または卵形で、成熟するにしたがって緑色から黄色へ、さらに茶色または黒色になります。古代ハワイ人は、ロウルの小葉を編んでマットを作ったり、葉を雨や日光を避ける傘として使ったりしたそうですが、ニウ(ココヤシ)と違ってあまり利用しなかったようです。 19種のうち半数近くが希少種または絶滅危惧種に指定されています。現在多くの場所でロウルの若い木や苗木が育っていますが、ロウルの実はことごとくネズミによってかじられてしまい、種子のほとんどが発芽できないそうです。そのため、今後ロウルが野生の状態で存続できるかどうかは不確かであると言われています。 日本語名:― ハワイ語名:loulu、loulu lelo(P. hillebrandii)、loulu hiwa(P. martii) 英語名:sandalwood 学名:Pritchardia spp. 分類:ヤシ科(Arecaceae) その他:ハワイ固有種(endemic) ——————————————————————— 「画像1」ロウル(P. hillebrandii) 「画像2」ロウルの葉(P. waialealeana) 「画像3」ロウルの花(P. lowreyana)...

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イリアヒ

イリアヒ(ビャクダン、サンダルウッド)その1 イリアヒ(ʻiliahi)は、香木として知られるビャクダン(白檀、Santalum album)のなかまです。ビャクダン属は25種あり、その多くはインド、東南アジア、オーストラリアが原産です。他にはハワイ諸島に4種、ファン・フェルナンデス諸島とマルキーズ諸島にそれぞれ1種ずつ存在しますが、ファン・フェルナンデス諸島の種は過剰な伐採の末に絶滅したとされています。ハワイの4種はすべて固有種で、イリアヒと呼ばれます。4種とも個体数は多くありません。 常緑の木本です。葉は対生で楕円形、卵型、または倒卵型。花は白色または赤色で、直径約6mm、花弁は4枚。果実は長さ約2cmで、オリーブに似ています。材の中心部は、ビャクダン類独特の香りがあります。ビャクダンと同じく半寄生(hemiparasitic)で、細根からコアやプーキアヴェなどの他の植物の養分を吸収します。 S. ellipticumは、ハワイのすべての主要な島々の標高の低い乾燥した地域に分布する、高さ1~5mの小高木です。イリアヒアロエ(ʻiliahialoʻe)とも呼ばれます。英語ではcostal sandalwood(海岸のビャクダンという意味)と呼ばれます。S. freycinetianumは、ハワイ島以外の主要な島々の湿った森に主に分布する、高さ1~12mの低木または高木です。英語でmountain sandalwood(山のビャクダン)とも呼ばれます。 その2に続く...

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ハワイ・クリーパー

ハワイ・クリーパーは、ハワイミツスイの一種です。ハワイ島にのみ生息します。マウナ・ケア(Mauna Kea)、マウナ・ロア(Mauna Loa)、フアラーライ(Hualālai)の、標高約1,370m以上のコアとオーヒアの森にすみますが、生息数は少なく、絶滅の危機に瀕しています。不思議なことに、本種のハワイ語名はありません。 全長11cm。雌と雄は似ていますが、雄のほうが体が明るい色をしています。上面はオリーブ色、下面は淡い色、喉は白色です。目の周りにアライグマのような黒班があります。嘴は明るい色で、ほんのわずかに下にカーブしています。雌や未成鳥のハワイ・アマキヒに似ているますが、ハワイ・クリーパーのほうが嘴のカーブが少なく、喉が白く、眼の周りの黒班が広いのが特長です。 コアなどの木の幹や枝を動き回り、餌を探します。主に虫を食べますが、稀に花の蜜も吸います。繁殖期は1~5月です。単独でいることが多いですが、アーケパ、アマキヒ、アキアポーラーアウなどのハワイミツスイ類たちと一緒になって小さな群れを作ることもあります。 日本語名:― ハワイ語名:― 英語名:Hawai‘i Creeper 学名:Manucerthia mana 分類:アトリ科(Fringillidae) その他:ハワイ島固有種(endemic)、絶滅危惧種(endangered)...

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ニウ(ココヤシ)その2

ニウ(ココヤシ)その1の続きです。 高さ30mに達する高木です。幹は通常根元付近が太く、緩やかに曲がって伸びます。葉は羽状複葉で、長さ6m以上になります。小葉は約100枚あります。樹齢10年を過ぎると、芳香がある黄色い花が咲きます。果実(ココナッツ)は長さ20~30cmの楕円形で、皮の内側は厚い繊維層に覆われています。木の寿命は70年以上で、ときには樹齢100年を超える場合もあります。 世界でもトップクラスの有用な樹木とされています。古代ハワイ人も、ニウのほとんどの部分を利用し、建築、カヌー、楽器、容器、食用、飲用、燃料、薬品など様々な用途に使いました。そんな利用価値の高い木ですが、太平洋の他の島々に比べると、ハワイで植えられた数は少ないとされています。その理由の一つとして、料理や医療をはじめとした様々な利用において、ハワイ人はココナッツオイルよりもククイから採られるククイオイルのほうを好んだのではないかと考えられているそうです。 幹にアルミニウム製の板が巻かれているのを見かけることがあります。これは、ネズミが登って木の上に巣を作るのを防止するためです。 日本語名:ココヤシ ハワイ語名:niu、olonani 英語名:coconut palm 学名:Cocos nucifera ヤシ科(Arecaceae)ココヤシ属(Cocos) ポリネシアン移入種(Polynesian introduction)...

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ニウ(ココヤシ)その1

ヤシの木の仲間は数多くありますが、そのなかでおそらく最も有名なのがニウ(ココヤシ)でしょう。今日ハワイで見られる様々な種類のヤシの木のなかでも圧倒的に本種が多く、日本人にとっても、ハワイを含めたいわゆる「南の島」のシンボルとして真っ先に思い浮かぶ木です。観光客は、ホノルル空港に到着すると同時に、ニウを見上げて、風に揺られる葉の音を聞いて、胸が踊ります。逆に旅行からホノルル空港に帰ってきたカマアーイナ(ハワイ在住者)たちにとっては、地元に戻ってきたという安堵感をもっとも与えてくれる木のひとつではないでしょうか。   そんな南の島のシンボルであるニウですが、ハワイの在来種ではなく、古代ポリネシア人によって持ち込まれた、いわゆるカヌープラントのひとつです。ハワイ準州時代(1898~1959年)には、公式な『準州の木』に指定されていました。   原産地はマレシア植物区系区と考えられていますが、詳しいことはわかっていません。世界中の暖かい地域に広く植えられていて、ハワイでは海岸沿いを中心に古くから植栽され、主要6島すべての標高600m以下の場所で見られます。庭、道路、ホテル、公共施設の敷地などにも多く植えられています。 その2に続く ———————————————————————  ...

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ピロ その2

ハワイで見られるタマツヅリ属の植物のなかでクーカエネーネー(kūkaenēnē)と呼ばれるC. ernodeoidesは、ハワイ島やマウイ島の標高の高い開けた溶岩地帯や噴石地帯で比較的見つけやすい種です。大きさは通常2~3mくらいで、低く這うように生長します。葉は長さ6~12mmで密集しています。果実は直径8~20mmの光沢がある黒色です。ハワイ島とマウイ島の標高1,220~2,590mの亜高山帯の林地に自生します。   クーカエネーネーは、ハワイの『州の鳥』であるネーネー(ハワイガン)との関係が深いようで、クーカエネーネーとは「ハワイガンの糞」という意味です。また本種は、アイアカネーネー(ʻaiakanēnē)とも呼ばれますが、こちらは「ハワイガンの食べ物」という意味です。その名の通り、果実はハワイガンの好物です。他にもレポネーネー(leponēnē)や、プーネーネー(pūnēnē)などの別名がありますが、いずれもハワイガンに関係した名前です。クーカエネーネーにとっては、ハワイガンは種子を分散してくれる存在です。   古代ハワイ人は、クーカエネーネーの内側の樹皮を黄色い染料に、果実を紫色や黒色の染料に使いました。また、果実を使ってレイが作られることもあったそうです。 おわり 日本語名:― ハワイ語名:pilo、kūkaenēnē(C. ernodeoides) 英語名:― 学名:Coprosma spp. 分類:分類:アカネ科 (Rubiaceae) タマツヅリ属(Coprosma) その他:ハワイ固有種(endemic)  ...

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ピロ その1

ピロは、アカネ科タマツヅリ属の低木です。タマツヅリ属は約90種からなり、その多くがニュージーランド原産です。他にはオーストラリアに8種、ニューギニアに11種、そしてハワイに13種などがあります。ハワイでは総称してピロと呼ばれますが、そのうちのいくつかは外見が著しく異なるため、ハワイ人はクーカエネーネー(kūkaenēnē、C. ernodeoides)やコーイー(kōī、C. kauensis)などの別名をつけました。 ハワイの13種は、すべて固有種です。主要な島々の標高が約300mより高い森に自生しますが、島ごとの分布は種によって異なります。例えば、C. kauensisはカウアイ島のみに分布し、C. ochraceaはカウアイ島以外のすべての主要な島々に分布します。見た目の特徴は種によって異なりますが、一般的には、枝の多い潅木で、葉は対生で鋸歯がなく、直径約10mmの明るいオレンジ色、赤色、または黒色の実をつけます。個体によって雌株と雌株があり、それぞれ雄花と雌花が咲きます。 属名のCoprosmaは、ギリシア語の「kopros(糞)」と「osme(臭い)」から来ています。これはタマツヅリ属の一般的に共通した特徴である、葉や実をつぶした時の不快な臭いに由来します。ハワイ語のピロ(pilo)にも、「沼のような悪臭」という意味があります。しかし、少なくとも現在のハワイの種には、そのような悪臭はありません。 その2に続く ——————————————————————— 「画像1」ピロ(Coprosma kauensis) 「画像2」ピロ(Coprosma montana) 「画像3」ピロ(Coprosma montana)雌花...

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パライ(パラパライ)

パライは、中型のシダです。パラパライとも呼ばれます。とくにフラの世界では、ラカ(Laka、フラの女神)に捧げられる神聖な植物であり、チャントや歌やにもたびたび登場します。フラ・ハーラウ(フラの学校)では、マイレ、ハラ・ペペ、オーヒア、オーヘロ、キー(ティ)、イエイエなどのハワイの植物と一緒に祭壇に供えられます。 自然分布域は広く、ポリネシア、日本、東南アジア、スリランカ、ヒマラヤなどで見られます。ハワイでは在来種としてすべての主要な島々に自生します。陰が多い湿った場所で特に多く見られます。ハワイ火山国立公園内(Hawaiʻi Volcanoes National Park)などで簡単に見つけられるでしょう。 葉は羽状複葉で、明るい緑色です。葉は長さ30~90cm、幅30cmくらいです。柔らかくて香りもよいパライの葉は、昔からフラのダンサーたちとても好まれています。葉をきれいに編み込んでレイが作られ、ダンサーたちの足首、手首、頭などを美しく彩ります。栽培されることも多く、室内で容易に育てることができるそうです。 日本語名:イシカグマ ハワイ語名:palai、palapalai 英語名:― 学名:Microlepia strigosa 分類:コバノイシカグマ科(Dennstaedtiaceae)フモトシダ属(Microlepia) その他:ハワイ在来種(indigenous) ——————————————————————— 「画像1」パライ(パラパライ) 「画像2」パライ(パラパライ) 「画像3」パライ(パラパライ)...

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ウルへ(コシダ)

ウルへ(コシダ)は、ハワイの広い地域に在来種として生育するシダ植物です。ハワイの他にもカリブ海諸島、インドネシア、ポリネシア、アフリカ、アメリカ大陸、アジア、ニュージーランド、オーストラリアなど、世界の広い地域に分布します。ハワイでは主要な島々すべてに自生します。 ハワイの水気の多い森をハイキングすれば、まるで絨毯のように地面を覆っているウルヘを、ほぼ必ずと言っていいほど見ることができるでしょう。このような場所では、山火事や地滑りなどで地面が表れることがあっても、すぐにウルへの”絨毯”で覆われます。尾根などでは、ウルへが丘の一面のほとんどを分厚く覆っていることもよくあります。茎は分岐に分岐を重ね、一個体の長さを図ることはできないくらい大きくなります。 一般的に、Dicranopteris linearisという種がウルヘと呼ばれますが、固有種のSticheris owhyhensisという種もあります。他に、Diploterygium pinnatumという近縁種もあり、こちらはハワイ語ではウルヘ・ラウ・ヌイ(uluhe lau nui)といいます。「大きな葉のウルヘ」という意味です。いずれもDicranopteris linearisほど一般的ではありません。 「画像3」 日本語名:コシダ(小羊歯) ハワイ語名:uluhe、unuhe 英語名:false staghorn fern 学名:Dicranopteris linearis 分類:ウラジロ科(Gleicheniaceae)コシダ属(Dicranopteris) その他:ハワイ在来種(indigenous)...